第18話 おにぎり食べたかった
「美味しい」
リズがおにぎりを頬張りながら少し嬉しそうな表情で呟く。そうだろう?やはり米は素晴らしい。
「本当に、これ美味しいよ」
「確かに、今まで食べた事ない味です」
「これは、君が作ったの?」
アリスが変わり種のおにぎりを食べながら赤い目でじっと俺を見て尋ねてくる。
「えぇ、まぁそうですね」
俺は自分で作った物だと伝えた。確かに自分で作ったが、まさか1つも食べられないなんてこと普通ある?
「……」
一方俺はおにぎりがなくなったので魔法袋からサンドウィッチを取り出してもぐもぐ食べている。
おにぎりの気分だったがなくなったので仕方なくサンドウィッチで手を打っている。
「それで、皆さんはなぜここにいるんですか?」
俺はサンドウィッチを食べながら1番の疑問だった事を聞く。普通は高ランクパーティは大物を狙うから、こんな何もない所に来やしない。
ここら辺に来たという事は薬草集めしかない。
「えぇと、僕たちはまだ万全じゃないから大きな依頼は受けられないからね」
「はあ……」
だとしてもなんで薬草集めなんだ?別にあんたらなら、万全じゃなくてもオークとか、ハーピーくらいなら瞬殺できるだろうに。
「……」
なぜか食べ終わったリズが俺のサンドウィッチをじっと見ている。おい、まじでなんなんだ?これも寄越せってか?なんの嫌がらせだ?
決めた。今日も絶対に贅沢をする。
「なんでしょう?」
「それも、美味しそう」
「あげませんよ」
さっきあんたには、おにぎりをあげたでしょうが。
「けち」
なんて言い草だ、このロリ巨乳は。
「けちで結構」
そう言って空を見ながら食べ始める。今日はいい天気だなぁ。
・・・・・・・
「あー美味かった」
俺はサンドウィッチを食べて少し横になる。クエストも終わってるから少しだけ目をつぶってゆっくりする。
「「「「……」」」」
「……」
ねえ、本当に何なの?何でそんなに見てくるの?圧が凄いよ、もうギルドで疑いは晴らしたじゃん。
俺は無実ってことを証明したじゃん。
「あの、そんなに見られるとゆっくりしずらいんですけど」
「え?あぁごめんね」
「いえ、それよりも皆さんも薬草集めで来たんですよね?行かなくて良いんですか?」
「ああ、それならもう終わったよ」
「なるほど、そうですか」
流石は高ランクパーティだ、仕事が早いな。俺は素直に感心した。
そしてもう見られても気にしないように反対側に寝返りをうつ。
「……」
今日はやっぱりいい天気だ。この気候で眠ったらさぞ気持ちがいいだろうな。
心残りは…やっぱり…おに…ぎり
「スースー」
そして、俺はそのまま寝た。
「彼、寝たね」
「そうだね」
「完全に寝てますね」
「うん」
そこには木陰でグーグー寝ている男1人と、寝ている男の背中を見ている女が4人いた。
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