第15話 苦し紛れの言い訳


「……」


まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい!

 どうしよう、何か言い訳を探さないと何か、何か!

黙って沈黙を貫いているけどそれも限界に近い。目の前の女の人が笑顔なのも怖い。


くそ、スピナーめ!あんなところで大声で喋りやがって!前言撤回だ、あいつはいい奴なんかじゃない!

 とりあえずスピナーに八つ当たりをしておいた。すると、


「おーい、グレン何してんだよ。クエストは?」


そこに俺をこんな状況にしてくれたスピナーくんがノコノコとやってきたではないか。

 一瞬こいつをどうしてくれようかと思ったがすぐにやめた。


なぜならカモがネギを背負ってやってきたから。


「おぉー!スピナーじゃないか!!」


俺は走ってスピナーの方に向かい、肩を組んだ。


「いやー、昨日は大変だったなー。一緒に行ったハーピーの討伐苦労したなー」

「え?いや…お前昨日はおーグぃィイ!」


また余計な事を言いそうになるスピナーの腹をつねる。


「大変だった!!よな!!」


目で早く話を合わせろと訴えかける。するとそれが伝わったのか。


「あ、あぁ。そうだな、大変だった」


スピナーは話を合わせてくれた。そこで肩を組むのをやめて、再びアリスのところへ戻る。


「と、言うわけで俺たちは昨日ハーピーの討伐だったのでオーク討伐なんかは知らないんですよー」


 俺はニコニコとしながらと言いはる。


「え?でも彼は昨日、君がオーク討伐に行ったって聞こえたけど」


アリスが少し戸惑いながら言ってくる。


「それはこいつの勘違いです!他の誰かと間違えたんですよ。な!そうだよな!!」

「あ、あぁ。そうだな、勘違いだった」


またもや目で訴えかける。スピナーは何が起きてるのか分からないからずっと困惑している。


「と、いうわけで俺たちはそんな人は知りません!お話は以上ですか?」

「う、うん。そうだね。呼び止めて悪かったね」

「いえいえ、こちらこそ、有名なパーティの方と話せて良かったです」


そしてアリスはパーティメンバーの所へ向かって行った。

 俺は安堵してため息をほっとついた。


「なぁ、グレン。結局今のは何だったんだ?」


スピナーが訳が分からないと言った表情で尋ねてくる。

 

「…そうだな、お前が蒔いた種をお前で刈り取ったって事だ」

「えぇ……」


俺がそう答えたらスピナーはゲンナリした表情になった。

 だってしょうがないだろ。あれしか思いつかなかったんだから。



 はぁ、もうあの服は当分着ない方がいいな。一悶着が終わり俺は薬草集めの為にクエストに向かう事にした。



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