第14話 大ピンチ
「は?討伐?」
「うん。けど討伐をしたのは僕たちじゃないんだ」
「え?じゃあ誰が?」
一瞬こちらを見ていた気もするがすぐに受付嬢に視線を戻して困ったような表情をする。
「それがわからないんだ。顔を白い仮面で隠してたからね」
「え?」
受付嬢は驚いたような顔を浮かべてアリスを見る。確かに誰かもわからない人間が討伐しました、は普通は混乱するだろうな。
「けど討伐されたのは紛れもない事実だよ。死骸はロイヤ山脈にある。確認も兼ねてギルドの職員の方にも来てほしい」
「わ…分かりました。すぐに手配を致します」
そうしてギルドの職員の人たちは大慌てで準備を進めている。多分、議事録とか取るんだろう。
でも準備に時間はかかりそうだな。
「さて…俺もクエスト行ってくるよ」
「あぁ…気をつけろよ」
スピナーは心配そうな表情で俺を見てくる。やっぱりこいつはいい奴だな。
「あぁ、気をつけるよ」
俺はそう言ってギルドを出ていく……
「ねぇ…」
「え?」
出ていこうとしたその時に呼び止められた。
おそる、おそる振り向いたらさっきお祭り騒ぎにした張本人がなんと俺に話しかけてきたではないか。
「俺…ですか?」
「そう、君だよ」
「……」
そっかー、俺だったかー。もしかしたらと思って周りを見たがどうやら違ったらしい。
「えぇと…何でしょう?」
思わず敬語になってしまう。何か知らないうちにやらかしてしまったのだろうか?
「実は僕たちは昨日の白い仮面をつけた人にお礼をしたくてね」
「はぁ…」
いまいち要領が掴めない言い方だな。それと俺に話しかける事になんの関係があるのだろうか?
「その白い仮面をつけた人が言ってたんだ。クエストでオークが必要なんだって」
「……」
とりあえず黙って聞いている。目の前の銀髪の美人が笑顔なのも怖い。まずい、すごくまずい気がする。
「君と彼が話してた事が偶然聞こえたんだけど、昨日オークの討伐してたんだってね」
「……」
え? 俺まじで口滑らしてた? 何してんの?
昨日の俺。
「君、何か知らないかい?」
「……」
もういや、帰りたい
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