第12話 自分へのご褒美

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 俺は、空から街に帰る途中で人目につかないところで降りて、そのまま街の入り口に向かう。


「おう!グレンじゃないか」

「よう、おっちゃんも元気か?」

「まぁな、カミさんにはしょっちゅう怒られるけどな」

「相変わらず尻に敷かれてんな」


ここの街の衛兵とは仲が良い。たまに飯を食ったりしている。


「今日は何しに外へ行ったんだ?」

「ん?オークの討伐」


そう言ってオークのクエストの紙を見せる。まぁ倒したのはオークじゃないけど。


「そいつはご苦労だったな!どうだ?今日の夜でも飲みに行くか?」

「いや、ありがたいけど今日はやめとくよ」

「そうかー、そいつは残念だ。じゃあまた今度飲もうや!」

「あぁ、また今度な」


そう言って街へ入る。まず、ギルドにオークの討伐報告をする為に、向かおうと思ったが・・・


「別に明日でいいか。今日はプチ贅沢しよう」


そう。今日はオーク討伐失敗だと思った。けどクエストを達成できた。

 普通に達成したのと、同じだけどいないと思って諦めてたから、達成した喜びが大きい。

 俺はいつも泊まっている宿に向かった。中に入ると厳ついおっさんが受付にいた。


「ゴードンさん、キッチン借りて良いか?」

「おぉ、いいぞ。なに作るんだ?」

「今日は少し贅沢をしようと思ってな」

「へぇ。美味いのか?」

「多分…食べてみる?」

「おぉ?そうか、悪いな」


いや、目が食わせろって語ってたよ。俺たちの分も作れって圧がすげーよ。


「お兄ちゃんが作るの?やったー!!」


レーナは凄い喜んでる。やっぱり顔が幼いから15歳には見えないな。

 行動も子供っぽいから12か13歳あたりに見える。


「さて、作るか。」


俺は魔法袋マジックバックから少し高い肉と幾つかの調味料、野菜とパンを出す。

 まず肉を厚めに切って、火を通す。その間にしょうゆもどきとみりん、砂糖と混ぜる。

 そしてすりおろした生姜を中に入れて、特製のタレの完成だ。


肉に火が通るとタレをかけて、水洗いした野菜と肉をパンに挟んで完成だ。

 今回は高めの肉だからよく濃厚な肉汁が出てるな。


「はい。ゴードンさんの分とレーナの分な。」

「おぉ〜。これは食べ応えのありそうなものだな」

「ね!本当に美味しそうだよ!」


まぁこんなに喜んでくれるなら悪い気はしないな。俺も早く食いたいな。

 

「じゃあ、食うか」


“ガブ”


濃厚なタレの旨みと野菜のシャキシャキとした歯応え、溢れる肉汁がとても美味い。

 うん、今回も大成功だな。


「!!おいグレン、これすっげーウメェ!!」

「!!うん、本当に美味しいよ!!」


うんうん、2人も美味そうに食ってるし、奮発した甲斐があったな。

 やっぱり食事は美味いものを食べるに限るな。

そうして飯を食って、風呂に入る。


「あ〜、気持ちいい〜。次は美味いものを食べて温泉巡りでもするか」


だらしがない声が出て、そんな事を考える。そして風呂から出て俺はベッドでゆっくりと目を閉じる。





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