第82話 空から落とし物
「「「「……………………」」」」
静まり返る試験場。
教官も野次馬も開いた口が塞がらなかった。
「君、入学する必要ある?」
ようやく口を開いた教官は思わず本音を言ったみたいだ。
まずい、入学初日で卒業の危機かも。
「あ、これ力任せに魔力を込めただけなのでよくないんです。それにちゃんと学ばないと推薦してくれたギース様になんと申し上げればいいか……」
「それはいけない、公爵様の顔に泥を塗るわけにはいかんな! 私は教官のクラースだ。いつでもどこでも頼りにしてくれたまえ。ちなみに専門は召喚魔法だぞ」
金髪の長い髪をした教官による唐突な自己紹介。
「教官、何を考えてるんですか、こんな平民ごときに!」
野次馬の一人がクラース教官に食ってかかる。
「バカめっ、この学園とて貴族世界の縮図なのだぞ。そこのところよく考えろ。アランよ、私はお前が平民でも気にしないからな!」
「あっ、はい」
◇◇◇
この学園、入学している者はほとんど貴族だ。
箔付けに入る者、家を継ぐ予定がない者、宮廷魔術師を目指す者、家に置いとけないとされた問題児など。
由緒ある学園ってギース様言ってたよね。
だからさ、きっと生徒はまともなやつばかりで試験場の野次馬生徒は例外だろうと思ってたけど。
教室に行こうと渡り廊下を歩いていたら、すれ違った生徒からローブにペッと唾をかけられた。
「元貴族の薄汚い平民が、何を堂々と歩いてやがる! 貴族様が来たらその場で平伏し通りすぎるまで待つのが筋だぞっ、そんなことも忘れてしまったのか⁉︎」
「そうだそうだ! だがお前は運がいい、カストール様の高貴な液体をもらった恩を未来永劫忘れるなよ!」
僕と同じくらいの年の貴族の子どもに絡まれた。
この賢者のローブはたぶんお前たちよりはるかに価値があるんだけどな。
「全然面識ないんだけど、知らない人をよくそこまで嫌悪できるね。さぞかしいい教育を受けてきたのかな」
「そうだ、我々は貴様とは違う次元の教育を受けている!」
ドヤ顔をするカストール君に皮肉が通じていない。
激昂するかと思ったのに、大した教育を受けてないな。
だから許してやろうじゃないか、寛大な精神で……!
とはならないので『ブラックカース』。
カストール君と取り巻きには一日一回鳥のフンが落ちてくる呪いをかけた。
黒い靄に包まれる二人。
「なんだこの黒い煙は! いったいどこから?」
二人は黒い靄を手で振り払おうとするが、靄は役割を果たし自然に消えていく。
本番はここからだ。
ポトッ、っと鳥のフンが落ちてきて二人の着ているローブにべちゃっと着弾した。
「なんなんだ、あの無礼な鳥は! 撃ち殺せ!」
「はいカストール様、『火の精霊よその怒りを力に変えろ、ファイアバレット』!」
取り巻きが上空にいる鳥に向かって火の弾丸を飛ばすが、自由に飛び回る鳥に当てられるはずもない。
「くそっ、平民め運がいいな! 俺は着替えなきゃならんからいったん家に戻る! 今度会う時を楽しみにしてなっ! ……この服は捨てるしかない」
それだと毎日服を取り替えなきゃいけなくなるね。
僕はそんなもったいないことできないので【水魔法】の『クリーン』で賢者のローブを洗浄した。
◇◇◇◇◇◇
ウォード「ギース様、学園から請求書が。魔力測定用の案山子がアランにより全損したので補償してほしいと」
ギース「……まだ入学して数日もしていないはずだが」
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】【痛覚緩和】【状態異常完全耐性】【炎精霊の守護】【幻魔】【疾風迅雷】【闇精霊の守護】【怪力乱神】【雷神剣】【強運】【晴嵐魔法】【謙虚】
ランク:シルバー(アリサ:ゴールド)
いつもお読みいただきありがとうございます😊
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます