第108話 聖女が裸足で逃げ出すやつ
神槍ヘルメスジャベリンを持つときだけ使える『
これほどわからせに向いた技はないよね。
そして、現実に向き合うまで幻覚はループを続け、その回数は対象の持っているスキルの数で決まる。
ループ開始のたびにスキルがなくなり、全部のスキルがなくなっても現実に向き合えなかった場合、最後に精神を破壊してループは終了となる。
キルシュはどうなるかな?
もし覚えてたらあとでギースさんにでも聞きに行こう。
それと、物騒なジャスティスランサーは【リバース】で『豪華な槍』にしといた。
儀式用で戦いに使えばすぐ壊れるやつ。
目が虚ろになって動かなくなったキルシュを従者たちが抱えて連れて逃げていったよ。
◇◇◇
「これは…… いったい…… おお、我が息子よ……」
ワレンシュタイン侯爵家当主はほぼ生きる屍状態となった次男を見て大いに嘆いた。
結局、キルシュはループから抜け出せなかったのだ。
キルシュは、長男が生まれたあとしばらく子どもができず諦めかけていたところに生まれた次男。
溺愛するのは当然とも言えた。
キルシュが正義ごっこをしていたのは知っていたが、若いうちによくある熱病のようなもの。
むしろ女にいれあげてあちこちに侯爵家の種をばら撒かれるよりははるかにまともだとすら思って何もしなかった当主。
なお長男はそんな父親をいつからか冷めた目で見ていた。
◇◇◇
ワレンシュタイン候はキルシュをこんな目に合わせたアランとかいう冒険者を探すと同時に、治療のためミザリー教の聖女を呼びつけた。
「これはいったい…… 何をされればこんな状態になるのでしょう……」
聖女テレーズはキルシュを診察したが、お手上げであった。
わかるのは精神がズタズタに引き裂かれていることだけ。
信仰が減り教会が未だ混乱の極みのなか【聖女】の力がなかなか強くならないテレーズではなすすべはなかったのだ。
もっとも、実際のところはテレーズが万全の状態でもできることはないのであるが。
「申し訳ありません、侯爵様。私では力不足です」
「くそっ、こうなったらアランとかいう冒険者を拷問して治す方法を吐かせるしかないのか」
「えっ、アラン……⁉︎」
「どうされましたかな、聖女殿」
「あっ、いやなんでもありません。神の奇跡が起きますように」
危なかった。
知らずに特大の爆弾に触るところだった。
教皇一派の最期を知る聖女テレーズは、触らぬ
◇◇◇◇◇◇
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】【痛覚緩和】【状態異常完全耐性】【炎精霊の守護】【幻魔】【疾風迅雷】【闇精霊の守護】【怪力乱神】【雷神剣】【強運】【晴嵐魔法】【謙虚】【ヘブンズゲート】【ニンジャマスター】【雄弁】【真理の究明者】【アビスの囁き】【超直感】【槍神】
ランク:オリハルコン
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