第104話 オリハルコンランクになったのに
「先輩がいなくなったあと、あの会社はどんどん経営が傾きました。仕方ありませんよね、先輩のワンオペで回ってただけなんですから。そして、会社の新築ビルは火事にあってみんな死んじゃいました」
「後輩ちゃんもなのか……」
「ええ、そして先輩と会えるよう女神にお願いしたらこの【転生の絆】をもらいました。先輩、ようやく本当の意味で会えました。だから前世で言えなかったことを、今ここで……」
◇◇◇
さて、僕もオリハルコンランクになったし、これで平穏な生活を送れるかな。
「おいっ、そこのガキっ!!」
周りを見る。
冒険者ギルドの掲示板を見ていた僕だが、周りには大人しかいない。
ちなみに僕も大人だ。
「無視するんじゃねえ! お前だ、お前だよ、これ見よがしにオリハルコンのタグをつけやがって、偽のタグをつけてたら大罪だぞ!」
なんだかくたびれたおっさんが僕に向かって怒鳴ってきた。
偽の高ランクタグをつけていたら確かに大罪だ。
ランクが高くなればなるほどギルドへ納める手数料が少なくなるからね。
そもそもギルドが見逃さないけど。
「で、なんなんですか? 何が言いたいんですか?」
「坊や、黙っててやるから金よこしな。さもなきゃ命はないぞ! ぐあああっ!」
剣を向けてきたそいつに対して僕は無言で剣を振り、彼の右腕を斬り落とした。
もちろん、すぐにくっつけられないように丁寧に線斬りすることも忘れない。
またつまらぬ物を斬ってしまった。
「それからこれはギルドへの迷惑料です」
右肩を抑えてうずくまるその男の懐からちょっとしかお金が入っていない巾着袋を取り出して受付嬢に渡した。
「ちょっと少ないかな……」
そんなことをぼやく受付嬢だが、それは僕に言われてもなんともならない。
◇◇◇
「待ちたまえ、君」
帰ろうとした僕に声をかけてきたのは黄金の鎧をまとった金髪の貴公子然とした青年。
おおよそ20歳になるかならないかといったところか。
従者も三人ほど付き従っているが、明らかに高価そうな装備をしている。
その従者はさっきのおっさんに高級ポーションを使って傷を塞いでいる。
さすがに欠損を治すものじゃないけどあっという間に出血が止まり傷がふさがった。
そして汚れた床を水魔法で掃除し始めた。
さらに風魔法でその辺の埃を払ってその青年の周りだけ綺麗にし始めた。
誰かの傷をタダで治すなんてどう見ても貴族の従者がする作業じゃないんだけど、何を考えているんだ?
淡々と作業をする従者を尻目に、黄金の鎧をまとった青年は受付嬢に話しかけた。
「受付嬢さん、それを元の持ち主に返すべきだ。このような非道を私の目の前で見過ごす訳にはいかない」
◇◇◇◇◇◇
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】【痛覚緩和】【状態異常完全耐性】【炎精霊の守護】【幻魔】【疾風迅雷】【闇精霊の守護】【怪力乱神】【雷神剣】【強運】【晴嵐魔法】【謙虚】【ヘブンズゲート】【ニンジャマスター】【雄弁】【真理の究明者】【アビスの囁き】【超直感】
ランク:オリハルコン
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