第103話 話をしよう

「ソフィア、この前言えなかったけど、言わなきゃいけないことがあるんだ」



 公爵邸でオリハルコンのタグをもらったあと、僕はソフィアの部屋に戻ってきた。

 いろいろひと段落したし、話するならこのタイミングだろう。



「なにかな? ……いや、私からも言わなければいけないことがあります、先輩」



「先輩、ってやっぱり……」



「そうです、私も転生者なんです」



 デイトナがソフィアはハズレスキルもちだと言っていた。

 僕のハズレスキルは日本語だったから読めたわけで、もしかしたらハズレスキル持ちってみんな転生者なのかもしれない、と思っていた。



「私のハズレスキルは【転生の絆】。普通は転生するとその前の記憶は薄れてしまうんですが、このスキルがあれば記憶を保持できるんです。代わりに他のスキルを修得できません」



「えっ、女神がチートスキルくれるって言ってたのに?」



「はい。他の転生者はなにかのきっかけで覚醒するまで前世のことを思い出せないし、全てを思い出せるというわけでもないのですが、私は例外でした。そして【転生の絆】により他の転生者のことも会えば認識できます」



「そんなにまでして前世の記憶を持っていたかったの? ごめんね、僕はそこまで覚えてなくてソフィアの前世の名前も思い出せないんだ。身に覚えのない罪で会社を追放されたあと5tトラックに轢かれたことは覚えてるんだけど。あとはよく気を使ってくれていた後輩の女の子がいたことをぼんやりと覚えているだけで……」



「いえ、それだけでも覚えてくれていてうれしいです。そして、先輩。前世での出来事についてですが」



「なに?」



「私……、前世で先輩を助けられなかった。先輩が無実の罪を着せられて会社を追放されたとき、私は何もできなかった。いえ、それ以前から多忙だった先輩の負担を減らそうとしたのですが、全てアイツに邪魔されて……」



 先輩と呼ばれることの少しの懐かしさと、この異世界では僕の方が年下になっているなあと思いつつ彼女の話を聞く。



「だから、転生のことをなかなか言いだせませんでした。先輩がどこまで覚えているのか、覚えていたら『なんであのとき僕を助けてくれなかったの?』と言われる覚悟がありませんでした」



「そんなことカケラも思ってないから。むしろ言われるがままに働いているだけの僕がよくなかったんだ。だからアイツにありもしない横領の罪も着せられた。この異世界にきてよく分かった。だからソフィアは、いや後輩ちゃんは悪くないんだ」



「先輩……」



「僕はこの世界で後輩ちゃんに救われたんだし、感謝しかないよ。ところで前世で僕が死んだあと、後輩ちゃんはどうなったの?」



◇◇◇◇◇◇



スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】【痛覚緩和】【状態異常完全耐性】【炎精霊の守護】【幻魔】【疾風迅雷】【闇精霊の守護】【怪力乱神】【雷神剣】【強運】【晴嵐魔法】【謙虚】【ヘブンズゲート】【ニンジャマスター】【雄弁】【真理の究明者】【アビスの囁き】【超直感】

ランク:オリハルコン


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