第102話 切り札

「『激炎』と『ダークマスター』がこんなにもあっさりと……」



 闇ギルド『ダイアモンド』のマスター、デイトナはほんのわずかな時間でこの場での生き残りが自分1人になってしまった。



 デイトナがもつ切り札の一つは……



「あなたは【超直感】を持っていますね。だからあの炎から逃げられたんだ。でも残念、ランダム発動のうえ連続で発動はしない。あなたに奇跡はありません」



 だが、まだ、まだ慌てる時間ではない。

 私の本領はここからだ。



「ふっ、アラン。いいのか、こんなところにいて?」



「どういう意味ですか?」



「ソフィア、王都の商業ギルドの受付嬢だったかな? ハズレスキルもち同士仲良く付き合っているそうではないか」



「…………」



「今頃どうなっているかな……、フフフ。心と体に癒えない傷を負わされている頃かもしれんな」



「…………」



「だが今からでも遅くない、私に従え。そして今すぐに我が娘の奴隷となれば無事で済むかもしれんぞ!」



◇◇◇



「残念だが、そうはならない」



「アラン、私は無事よっ!」



 アランとデイトナの前に音もなく現れたのは、公爵家筆頭執事と王都商業ギルド受付嬢だった。



「…………なっ⁉︎」



 自分の目を疑うデイトナ。



「アラン殿、脇が甘いですよ。ご主人様がソフィア嬢を私に見張らせていなければどうなっていたことか」



◇◇◇



 あ、うーん、ソフィアにはお守りにって持たせた指輪があるんだよね。



 【真理の究明者】で指輪を作って、持ち主の危機に防御結界を張り、破られそうになったら僕のところに転移する魔法を付与しているんだけど。



 あえて言うのも野暮ってものかな。



◇◇◇



「バカなっ! 公爵家が我々『ダイアモンド』の邪魔をするだと! 一体我々がどれだけ貴様ら王家のために手を汚したと思っているのだ、恥知らずめがっ!」



 デイトナさんがいたくご立腹だ。



「あなたたちと王家の関係なんて知りませんが、あなたはここで終わるのでそんなに怒らなくてもいいですよ」



 そして、デイトナを光の護法剣で深く斬り裂く。

 ついでだから【超直感】をもらっとこう。



「ぐあああっ! ガハッ…… これを使うことなどなかったはずなのに…… 全員道連れだ! 【超自爆】!!」



 デイトナの全身が白く光り始めるが、前に似たようなことをされたので準備はできているよ。

 一度見た技は二度と通用しない!



「【神聖魔法】クラッシュスキル!」


 

 僕の手から放たれた白い光線がデイトナの中心を射抜き、デイトナの光が収まっていく。



「そ、んな……」



 デイトナを完封し、僕は彼が息絶えるのを見届けた。

 


◇◇◇



 それから数日後、レイジング公爵邸にて。



「教皇不在のいま、アランへの異端宣言は聖女の名の下正式に撤回となるそうだ」



 ギースさんから聞かされるが、今更感がなくもないかな。



「それから闇ギルドについてだが……」



「『ダイアモンド』と王家の関係ですか? 王家の闇を知られすぎてしまって制御しきれなくなっていたとかそんなとこでしょう」



「簡単に言うとそういうことなのだが……。あいつらはこの国の癌だったのだ。興味なさそうだな。なら本題だ、受け取ってほしい」



 そこでニーナ様が何かをもってやってきた。



「オリハルコン級のタグですわ。どうかお受け取り下さい。あなたはこれにふさわしい武功を挙げましたもの」



 うやうやしくニーナ様が差し出してきたのは、鮮やかなオレンジのタグ。

 てか、武功を挙げたってのは何か違うかな。

 僕は立ちはだかる敵を倒しただけだ。



◇◇◇◇◇◇


スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】【痛覚緩和】【状態異常完全耐性】【炎精霊の守護】【幻魔】【疾風迅雷】【闇精霊の守護】【怪力乱神】【雷神剣】【強運】【晴嵐魔法】【謙虚】【ヘブンズゲート】【ニンジャマスター】【雄弁】【真理の究明者】【アビスの囁き】【超直感】

ランク:オリハルコン


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