第99話 もう一回
「これはお館様の怒りの分!」
「グハァッ」
教皇の腹に怒れる執事の鋭い蹴りが入り、口から血やら何やらがいろいろと吐き出される。
こりゃ内臓がイッたかな。
「これは僭越ながら私めの怒りの分!」
「ガハッ、やめ……今までのことは詫びっ、るっ、から……」
おお、綺麗にヤクザキックが決まった。
よろめきながら命乞いをしているが、もう遅い。
「これは怖い思いをしたお嬢様の分ですっ!」
ゴキッ。
衝撃波がついてそうなサマーソルトキックが決まり、ライナス教皇の首がおかしな方向に曲がる。
「ふんっ、まだ物足りんがこれで終わりだ」
教皇は後ろ向きに倒れる。
華麗に着地したウォードさんが『物足りない』とおっしゃるので、忖度することにした。
「物足りないんですか? じゃあ『リザレクション』」
そして光の柱に包まれ教皇が生き返り、ゆっくりと起き上がった。
「あ、あれ儂は……? なぜ生きているのだ……?」
「じゃあウォードさん、もう一回どうぞ。『これはお館様の怒りの分!』からできますよ」
「いや、もうそれを言う必要はないが……せっかくなのでもう一回」
「うわぁぁぁ、来るなっ!! もうあの死の痛みは嫌だぁぁぁァァァァ!! 何で儂だけ2回も〜〜」
そして、ウォードさんの容赦ない蹴撃。
最後のサマーソルトが決まり、またしても教皇の首が変な方向に曲がり死んだ。
「もう一回いっときます?」
「いや、もういい」
◇◇◇
後始末は公爵家がする、ということでアランがその場から去ったあと。
「よいか、残りの教皇派は全て抹殺せよとお館様は仰せだ。行け!」
ウォードは大神殿に集まったレイジング公爵家の暗部に命令した。
◇◇◇
ギース公は当然娘を襲われて黙っているはずもなく、ミストやその裏を洗い出していた。
教皇までたどり着いたが、その裏の戦闘部隊も一筋縄でいくものではなく確実な殲滅方法を思案していたところ、アランが異端認定を受けたあとその戦闘部隊の大半が壊滅したとの連絡を受けた。
そうしてあまり間をおかずアランがやってきてミストを仕留めたと言う。
これは千載一遇のチャンスと悟った公爵はアランとともにウォードを行かせて教皇を葬ることに成功。
残りのやつらはただの有象無象だ。
こちらの戦力も全くの無傷。
教皇派を全滅させ聖女派にはそれとなく恩を着せておく。
あの清廉な聖女はしないと思うが、万が一にも現王からの誘いに乗らないようにだ。
これで我が娘を襲ったことの一応の清算はついたが(おそらく現王は教皇との繋がりを残していまい)、教皇の言葉の中に『ダイアモンド』への依頼を
アランがこれを聞き逃すはずはない。
おそらく単身で葬り去るのだろう。
本人に心配はないが、最近できた弱点があるからな、一応カバーしておいてやるか。
こうしてウォードに残党を処分させた公爵は次の任務を指示するのであった。
◇◇◇◇◇◇
前話の【錬金術】と【真理の探究者】は単なる言い換えで効果が強くなったように思えなかったので、【真理の究明者】にします。
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】【痛覚緩和】【状態異常完全耐性】【炎精霊の守護】【幻魔】【疾風迅雷】【闇精霊の守護】【怪力乱神】【雷神剣】【強運】【晴嵐魔法】【謙虚】【ヘブンズゲート】【ニンジャマスター】【雄弁】【真理の究明者】
ランク:ゴールド(アリサ:ゴールド)
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