第93話 決着
「この魔剣さえあれば僕に勝てると? じゃあ試させてあげます」
そして僕は瀕死の父の前に魔剣ナーガパープルを置いた。
「甘い、甘いぞぉっ!! 剣士の魂である剣を相手に渡すなど! これで貴様を……」
どう見たって僕のあからさまな罠なのに、躊躇なく手に取る父。
ああ、落ち目の人間って判断力も鈍るんだな。
「うぐっ、あああっっ、これは、吸われている……!! 剣が、手から離れないっ!」
「甘いのはアンタだ。魔剣ナーガパープルは満足するまで使用者の生命力を吸うんだ。それくらい調べておきなよ。そのまま……干からびていけ!」
みるみる間に体が萎んでいく父。
太かった腕もたった数瞬で枯れ枝のように変わって頬も老人のようにこけていった。
やっぱりこの剣のことあまり調べてなかったんだな。
「くっ……なぜこんな……」
「あ、そうだ。ついでに言っとくことがあったんだ」
「なにが、だ……?」
「僕スキル【剣神】持ってるから。アンタにはなっから勝ち目はなかったんだよ」
「そんなはずはっ! お前はハズレスキルもちの出来損ないでっ! 我が家を継ぐ価値もな、い……グッ、ガハァ……」
言葉でトドメを刺された今世での父、ライアン=ヴァーミリオンは憤死した。
◇◇◇
「そんな、父上が……! アラン、この父殺しめ! 人でなし!」
ケインが僕を罵る。
ていうか、いたんだ。
「どの口でそんなこと言うの? 人でなしはそっちだろうに。長年僕を虐待してきたうえに追放に飽き足らず始末してこようとしたよね。父の後を追わせてあげるよ」
僕は魔剣を父の死体から取り上げてケインに向ける。
「ひいっ!!」
ケインは尻もちをついた。
「なんでお前がその剣を持って平気なんだ!」
「教える義理はないね。そんなことより、お別れです」
会話で時間稼ぎしようとしたって無駄。
「け、【剣神】だと言ってたな! そんなはずはない! あの父ですら至れなかった剣の極地なんだ。お前ごときが……」
「…………」
とっとと因縁にけりをつけるか。
正直、あっけない幕切れだったな。
相手はただのケインだし。
「や、やめてくれ、あ、兄を斬るのか? 血の繋がった兄をっ!!」
口は動くが、体は震えて動けないケインを斬り捨てようとした時。
「だめっ! ケイン様は殺させない! 殺すなら先に私を殺して!」
◇◇◇◇◇◇
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】【痛覚緩和】【状態異常完全耐性】【炎精霊の守護】【幻魔】【疾風迅雷】【闇精霊の守護】【怪力乱神】【雷神剣】【天運】【晴嵐魔法】【謙虚】【ヘブンズゲート】
ランク:ゴールド(アリサ:ゴールド)
いつもお読みいただきありがとうございます😊
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます