第92話 指導
「お前には罪滅ぼしとしてケインを支えるチャンスを与えよう」
「いやだね」
家に戻ってきてケインを支えろだと?
そこはミストを撃退した僕に『後継ぎとして認めるからどうか家に帰ってきてください』、だろう?
それでもお断りだけどな!
「たかが【剣羅】に上がったくらいで上機嫌になっちゃって。だいたいミストは僕が倒すはずだったのに、弱った相手に罵詈雑言を浴びせてトドメ刺すとか【剣聖】の名が泣くよ」
父の顔がみるみる赤くなっていく。
「アラン、よくもこの儂の最後の温情をフイにしたな! これは許されざる叛逆であるぞ! 剣の修羅となった儂の剣の真髄をもって貴様に儂自らが処罰を与えてやる、死ぬがよい!!」
「かかってきなよ、上にはまだ上がいることを指導してあげるから」
「ほざけ!!」
いきなり最高速で突進して斬りかかってくる父。
「柳流し!」
僕は持っていた黒鋼の剣で迎え撃ち、回避用の技で父の渾身の突進を受け流した。
突進の勢いを殺され剣を右に流された父は冷静になったのか追撃を警戒して後ろに下がった。
「なぜお前が【剣聖】の回避技を使える……? しかもそんな黒鋼の剣で」
「なぜって、格下相手に本気の剣を使うわけないでしょう? 僕が全力を出せばすぐ終わってしまいますから。大丈夫、最後の時だけ本気の剣を見せてあげますからね」
「く、どこまでも舐め腐りおって! 喰らえ、『阿修羅剣』!」
【剣羅】の技、阿修羅剣。
一振りが六つの剣に分裂して、しかも全てに実体がある隙のない剣戟。
だが、それも僕には通用しない。
真横に薙ぎ払う一振りで、六つの剣戟を全て弾く。
「バカな、儂の剣技が通用しないだと!!」
もう、底は見えた。
最初から知ってたけど。
だから空間収納から剣を取り出す。
取り出した剣は、紫に輝く魔剣。
「それは、魔剣ナーガパープル! 一体どこで、その失われし魔剣を手に入れた!? よこせ!!」
結構探したんだよ、この剣。
父が欲しがってたのを覚えてたから、商業ギルドにお願いしてとにかく古ぼけた剣を探してもらい、それを次々【リバース】していってようやく見つけたんだから。
「さあね。遊びは終わりです。あなたが喉から手が出るほど欲しかった魔剣で、斬れ味を試してみましょう。『霞斬り』!」
直後、半月状の霞のような斬撃が発生し、父を斬った。
袈裟斬りを食らった父は血しぶきをあげる。
「ゴハッ、いったいどこで儂も知らぬそんな技を…… ぐっ、その剣さえあれば……」
瀕死の父は片膝をつきながら僕と剣を睨みつけた。
ここは指導役の僕が勘違いを正してあげないといけないね。
「この魔剣さえあれば僕に勝てると? じゃあ試させてあげます」
◇◇◇◇◇◇
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】【痛覚緩和】【状態異常完全耐性】【炎精霊の守護】【幻魔】【疾風迅雷】【闇精霊の守護】【怪力乱神】【雷神剣】【天運】【晴嵐魔法】【謙虚】【ヘブンズゲート】
ランク:ゴールド(アリサ:ゴールド)
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