第89話 誘い
「あー、来たくなかったんだけどなー、ここだけやらないってのもなんかモヤるしなー」
信者改心作業を淡々と行い、合間合間にソフィアに甘えながらしてきたが、とうとうこの日がきてしまった。
ヴァーミリオン侯爵領。
僕の実家、だったところ。
なおギースさんによると僕はすでに貴族名鑑から除かれているのでただの平民だ。
心情的にあまり来たくないので後回しにし続けてやっぱり最後になった。
あと、教会からの暗殺者も片っ端から片付けていったので最近は見なくなって静かだ。
◇◇◇
このヴァーミリオン領でも僕が異端者ということは知れ渡っていた。
SNSとかないのにさ、なんでこんなに広まるのが早いのか不思議なんだよね。
SNSみたいなスキルがあるのか、教会の口コミ的なネットワークがすごいのか。
ただ、そのおかげで僕が対象にしたい人がすぐに見つかるからいいんだけど。
そうして皆さまに改心してもらっていたところ。
「アラン……様、こちらを」
1人のメイドが手紙を渡してきた。
たしかこの人は……僕が侯爵家で冷たい扱いをされていたときに、暖かい食事をこっそり持ってきてくれたり、暖かい風呂に入れてくれた人。
見たところ特に虐待的なことは受けていないようだ。
よかった、追放前の僕に親切にしていたところを見られてひどいことになってなくて。
◇◇◇
受け取った手紙には、
『ケインが【剣豪】スキルを失った。ついては後継ぎを決め直すから屋敷に来るように』
ということをものすごーく長々と遠回しに書いてあった。
要はすごく不本意でイヤだけど仕方ねーから来い、ということだ。
罠っぽい感じだけど、これが『頼むから帰ってきてくれ、今までのことは謝罪する』みたいな媚び媚びな文だったら絶対行かなかったな。
あまりにも有り得なさすぎるから。
どうせなら誘いに乗って罠ごと食い破ってやろう。
ついでにくだらない因縁にもけりをつける。
◇◇◇
「おい、あんな文で本当に来るのか?」
ヴァーミリオン家の当主ライアンはこんな文でアランが来るかどうか半信半疑であった。
「ええ、剣聖殿。そのためにわざわざご子息がスキルを失ったことを書かせたのですから。御家の追放劇からすれば、凋落した嫡子殿の様子を見て嘲笑いに来るくらいはするでしょう」
その男は答えた。
「そんなものなのかね。ハズレスキルを持ったあやつにそんな胆力はないぞ。むしろ私からの反撃を恐れて来ないと思うがな」
「いえいえ、ご子息、いや元ご子息でしたかな、十分にお強いですよ」
「まるで見てきたかのようだな。まさか貴殿が教会に所属しているとは知らなかったぞ。冒険者オリハルコンランクが仮初の姿だったとはな。ま、儂には関係のないこと。あやつを葬れるのであればな」
◇◇◇◇◇◇
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】【痛覚緩和】【状態異常完全耐性】【炎精霊の守護】【幻魔】【疾風迅雷】【闇精霊の守護】【怪力乱神】【雷神剣】【強運】【晴嵐魔法】【謙虚】【ヘブンズゲート】
ランク:ゴールド(アリサ:ゴールド)
いつもお読みいただきありがとうございます😊
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます