第76話 王様になれるといいね
「メルクリウス、我が子よ。分かっているな」
「は……父上。しかし……」
「しかしも何もない。そなたは王位継承の資格であるロイヤルスキル、【ロイヤルテイマー】を失っている。すなわち、王位継承権を剥奪する。王位はいずれ第二王子が継ぐこととなろう」
アランがついでにリバースしたことで第一王子は王位を継げなくなっていた。
「そ、そんな、お待ちください! これは何かの間違いで……」
「私とそなた、宮廷魔術師たちと何回も確認したであろう。私とて親である、今回のことは非常に残念だ。原因は不明であるしな。だが王族たる地位までは剥奪しない、私の温情と思うのだ」
「……父上の比類なき温情に感謝いたし……ます」
◇◇◇
「いったいなぜ、いつこんなことに!」
グローリア王国第一王子メルクリウスは狼狽していた。
知らぬ間に王族固有のスキルである【ロイヤルテイマー】が【三流テイマー】になっていた。
いつものように騎乗用のワイバーンを見に行ったら、噛まれそうになったのだ。
ドラゴンすらテイムできる【ロイヤルテイマー】ではあり得ないこと。
しかもよりにもよってその場面を次の王位継承候補の第二王子ピエルトに見られていたのだ。
その場面を嬉々として王に告げるピエルト。
王はそんなピエルトの様子を見て王位を継がせるのに一抹の不安を抱くが、さりとてその内容を確かめないわけにはいかなかった。
そして冒頭の王位継承権剥奪宣言である。
反乱……も一瞬だけ考えたがそもそもロイヤルスキルを失っているので父に勝てない。
仮に父をどうにかできても、ピエルトにはロイヤルスキルである【ロイヤルフッド】がある。
遠距離からピエルトの必中の弓で狙撃されれば死ぬ。
勝てるとすればハズレスキルの第三王女くらいなものだ。
ともかく、いったいいつどこでロイヤルスキルがなくなったのか。
特におかしな行事はなかったはず。
平民相手の茶番など呼吸をするのと同じくらい当たり前の王子様が、真実にたどり着くことはおそらくない。
◇◇◇
side アラン
王都武神祭が終わり、僕はギース公爵の屋敷に来ていた。
「ネイサンさん、サラさん、元気そうで何よりです」
「ああ、感謝しているぞアラン」
「アランさんのおかげで快適に過ごせましたわ」
どうやら公爵様は約束を守って2人の面倒を見ていてくれたようだ。
でもよく考えれば公爵のほうが得した割合が多くないかな?
公爵家の派閥は今回王都武神祭に出場させない、って言ってたから僕は公爵家の政敵にダメージを与えていたわけで。
よし、今度なんかあったらもっともっとふっかけよう。
それはそれとして、ネイサンたちを外国に送らなければ。
「準備はいい?」
「ああ、いいぞ」
「では、トランスポート!」
2人を送った先は、二つ隣の国、ブーマッシ国。
なんでも武力と筋肉を尊ぶところらしい。
不動の盾職であるネイサンが成り上がるにはちょうどいいだろう。
武器?
オリハルコンの盾で殴れば全て解決だよ。
なんか2人からはお礼と言われたが、僕が好きでやったことだからいらない。
どこかであったらメシでも奢ってとは言っといたけど。
◇◇◇◇◇◇
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】【痛覚緩和】【状態異常完全耐性】【炎精霊の守護】【幻魔】【疾風迅雷】【闇精霊の守護】【怪力乱神】【雷神剣】【強運】【晴嵐魔法】【謙虚】
ランク:シルバー(アリサ:ゴールド)
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