第70話 後宮送り

 そのころのグローリア王国の王の後宮。



 女ばかりの中に突然放り込まれた下半身丸出しの男。



 ネイサンの妹サラに乱暴を働こうとしたところ、とてつもない衝撃を受けて気を失っているところをアランにより転移させられた。



 すぐさま警備の女騎士に捕えられる。



「言えっ、どこから侵入した!!」



「わからねえ、ホントなんだ! 許してくれ!! 伯爵邸で着替えていたらこうなってたんだ!」



「そんなわけないだろう!! 言え、言うんだ!!」



 男よりも体格の良い女騎士は鬼気迫る表情で男を問い詰める。

 


 国王陛下の後宮に陛下以外の下半身裸男に侵入されてしまったのだ。

 何としても吐かせなければ自分のクビもコイツと合わせて飛ぶ。

 警備責任者として責任を取らされ物理的な意味で。



 だから女騎士はコネを使って隷属の首輪を手に入れた。



◇◇◇



 だが、結果は変わらなかった。



「こんなことしても無駄なんだよ! 平民女を襲おうとしたらこうなってたんだよ!! どうしてこうなったかは知らねえって言ってるだろ!!」



 どういうことだ!?



 隷属の首輪の効果で、下半身裸になっていた本当の理由は吐いたが肝心の侵入の方法はわからないままだ。



 無意識に侵入したとでもいうのか。

 しかし本当に何の痕跡も前兆もなく現れたのだ。

 まずい、本当に私のクビが飛ぶ。



 何とか矛先を逸らさねば……



「ならば、お前は誰に仕えている?」



「それは……ダーレン伯爵様、だ」



 スケープゴートが決まった瞬間であった。



◇◇◇



「陛下、これは何かの間違いです! どうか、どうかお慈悲を!!」



 間抜けな側近が自分との繋がりを自白したことで、全く身に覚えのない罪で延々と拷問されるダーレン伯。



 嫌疑が貴族まで広がったので、拷問役はすでに後宮の女騎士の手を離れ王宮の拷問官に変わっていた。



 だが、何をどうしてもいっこうに明らかにならない侵入の方法。

 王宮の拷問官も焦った。

 陛下はこの件に関してたいそうご立腹と聞く。

 このままでは自分の首が飛びそうだ。

 というか、飛ぶ。



 一刻も早く何らかの報告をあげねばならない。

 だから、拷問官はでっちあげることにした。



◇◇◇



「なぜ私がこんなやつを後宮へ入れる手引きをしなければならないのだ!! そんなことする理由はない!! 誰か助けてくれ!!」



 処刑台へあがるのは、アランに飛ばされた男とダーレン伯と、男を最初に尋問した後宮所属の女騎士。



 困った拷問官は、男を最初に尋問した女騎士が手引きをしたことにし、2人は共謀して侵入の方法を黙っている、ということにした。

 そして伯爵が黒幕であると。



 理由はなんでもいいのだが、伯爵が後宮の女に欲したから男にその女を誘拐させようとした、ということに。

 その女が以前から気に入らなかった女騎士がその話を聞きつけて侵入を手引きした、というわけだ。



 激怒している王は拷問官のでっちあげを全て信じて処刑を命令。

 なお、裁判もどきの手続きはあるがそれらは全てすっ飛ばされた。

 拷問官は自分のストーリーの裏を取られる前に即日処刑を進言し、聞き入れられたからだ。



 こうして、面子を潰したネイサンとサラを始末しようとしたダーレン伯とその側近、なんとか責任を逃れようとした女騎士はまとめて処刑された。



◇◇◇◇◇◇


スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】【痛覚緩和】【状態異常完全耐性】【炎精霊の守護】【幻魔】

ランク:シルバー(アリサ:ゴールド)


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