第68話 ネイサン①
「いやぁ……、やめてぇ……」
「へへ、そんなに嫌がるなよ。それよりどうだ、俺のブツは? これからお前の中にこんにちはするんだぞ」
「どうしてそんなことを……」
「お前の兄貴はドジを踏んでなあ、お前も兄貴と一緒に処分されることに決まったんだ。病気のお前を抱きたい奴なんて今までいなかっただろ? 死ぬ前に天国へ連れてってやるよ」
「ドロップキーック!!」
「ぶべらっ」
女に手をかけようと服を脱いだ男は、いきなり側面から蹴られて吹っ飛び気絶した。
蹴ったのはアラン。
ネイサンはサラの元に駆け寄る。
「大丈夫か、サラ!」
「兄さん……!」
ネイサンを雇っている貴族の離れで妹のサラは療養中だった。
もっとも、ネイサンをこき使うために生かされていただけなのだが。
武神祭で貴族内の取り決めとは違うところで無様に負けたネイサンにより大恥をかかされた貴族は、ネイサンもサラも処分することを決めた。
そのことを聞いた貴族の側近はサラを抱こうとしていた。
いや、前からそうしたかったのだが、病弱なサラを抱けば死んでしまいそうだったため禁じられていたのだ。
「必殺、
アランは下半身丸出しで気絶しているそいつを王城の後宮に転移魔法で転移させた。
「さて、もうここに用はないよね」
というわけで、三人で転移した先はギース公爵家の広大な庭。
◇◇◇
「これは、伝説の転移魔法なのでは……?」
「ネイサンさん、冒険者は詮索しないものですよ。僕もシルバーの冒険者です」
「すまぬ」
そこへわらわらとやってきた屋敷内の巡回兵たち。
いかつい兵士にあっという間に囲まれて、ネイサンにお姫様抱っこされていたサラは顔面が蒼白になった。
その中から兵士が1人前に進み出てきて僕に告げる。
「これは、アラン殿でお間違いないでしょうか?」
おお、さすがギース公爵家の兵士、教育が行き届いてるじゃん。
「はい、そうです。ちょっと急ぎの用事がありましていろいろ無視した突然の訪問ごめんなさい。ウォードさんはいらっしゃいますか?」
そう言った途端、どこからともなく執事が現れた。
「いるぞ。お前たち、持ち場に戻れ」
「はっ!」
こうして兵士は素早く持ち場に戻っていく。
「アラン殿、その者はダーレン伯爵家に雇われているネイサンだな」
「はい。伯爵の顔に泥を塗ったとかで拷問されてたのでまとめて助けてきました。あ、ちょっとサラさんを休ませたいのでベッドをお借りできませんか?」
「構わぬぞ。ついてこい」
「助かります」
こうして、一室を借りてサラさんを横にさせる。
「さて、ちゃっちゃと治しましょうかね」
「待て。妹のは治らない、エリクサーでも延命が精々だと言われたぞ」
「生命の奇跡、【神聖魔法】リザレクション!」
公爵家の一室からまばゆい光が立ち昇った。
◇◇◇
「これでサラさんは大丈夫です」
血色もよくなり、スヤスヤと眠るサラさんを一応【神眼】で確認するがやはり完治していた。
「さっきの光はリザレクション、蘇生の奇跡ではないか?」
そう言いながら入ってきた屋敷の主人、ギース公爵。
その姿を見たネイサンはすぐにひざまづく。
僕は軽く会釈するだけだ。
「よい、楽にしたまえ。なぜリザレクションを? 教会に見つかったら私といえどいささか面倒なのだぞ」
◇◇◇◇◇◇
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】【痛覚緩和】【状態異常完全耐性】【炎精霊の守護】【幻魔】
ランク:シルバー(アリサ:ゴールド)
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