第65話 王都武神祭①
なんか勝手に人のステータスを2回も覗こうとしてきた失礼な女がいたので、振り向きざまに威圧しておいた。
一回だけなら誤射かもしれない。
と思ったが2回目だったのでもう絶対わざとだ。
私だって【神眼】で人を見ることがあるが、それは私と敵対している者に限っている。
勝手に覗かれる理由はない。
何だか勧誘を試みてたようだから、先に私の実力を見てみたいとでも思ったのだろうか。
それならそれで先に一声かけるのが礼儀だろうに。
全く異世界のやつらは……。
【神眼】でスキルを適当に偽装してるから見られても別に大したものじゃないんだけど、舐められるような不快感があるんだよね。
【神眼】による鑑定は相手にも気づかれないように行えるから、あの女の人の【鑑定】はレベルが低いんだろう。
◇◇◇
エンリケと一緒にギルドに戻り、その場で即ゴールドランクまで特別昇格した。
なお、証明に使ったルビードラゴンはエンリケを代理人としてオークションにかけることにした。
これならさすがにトラブルはないだろう。
ホワイトキングタイガーウルフの件から私は勉強したんだ。
隷属魔法で縛っているからエンリケは私に対して不正を働けないしね。
こうしてやっと王都武神祭に出場できる。
◇◇◇
「勝者、アリサ!」
私は王都武神祭の予選を軽々と突破した。
なんせスキルで高められた身体能力だけで相手の後ろに回り込み首の後ろを優しくトンッ、てするだけの作業だし。
ただ、これも貴族側の罠なのだ。
どういうことかといえば、健気にも這い上がってきた平民出身の出場者を本選の場で貴族が雇った傭兵が叩きのめす。
その前には予選で勝ち上がってきた優勝候補という大袈裟なアナウンスをしておき、何も知らない平民がそいつになけなしの金を賭けたところを巻き上げる、というシナリオだ。
要は貴族のための貴族による娯楽ショーなのだ。
私はそれをブチ壊す気でいるけどね。
◇◇◇
さて、本戦最初の相手はアッシュ、通称『紅炎のアッシュ』。
片手剣に重鎧装備。
鎧は火の精霊の祝福を受けた炎の鎧と言うやつで、受ける火のダメージを軽減し、かつ与える火属性のダメージを底上げする。
おそらくこいつは私に勝てない。
力とか相性とかではなく、いきなり一回戦で平民の星が負けてしまっては興行にならないから。
平民に期待を持たせるよう準決勝くらいまでは進ませ、そして接戦の末敗れる。
惜しかった、などと呟く平民の姿を見て影で嘲笑うという仄暗い貴族の趣味なのだからね。
アッシュは一応やる気を見せるパフォーマンスなのか、その手に持つ紅炎剣フランヴェルジュに魔力をこめ、波打つ炎が剣を覆う。
「さて、簡単に死ぬなよお嬢ちゃん」
アッシュが紅炎剣をその場で一振りすると、炎の剣閃が飛んできた。
◇◇◇◇◇◇
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】【痛覚緩和】【状態異常完全耐性】
ランク:シルバー(アリサ:ゴールド)
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