第63話 ゴールデンボール
「バカな…… あんな少女が……」
「見ろよ、今にも動きだしそうだぜ! 倒した直後にマジックバッグに入れたかのようだ!」
「ってことは高そうな装備に大容量のマジックバッグ持ちってこと! 絶対勧誘しなきゃ!」
ギルドから少し離れた解体場で出てきたルビードラゴンに野次馬が騒いでいる。
エンリケも現物を見て驚きを隠せない。
「アリサ殿、これまさかソロで討伐? しかもこの感じ、繁殖期のいちばん凶暴なやつか! 信じられんがアランの紹介ならそうか……」
「ゴールドへの昇格を認めて下さいますよね?」
「ああ……問題な『ちょっと待ったあ!!』」
「ああ? ゴールデンボールのやつらか。何の問題があるんだ?」
さっきギルドの受付前で私に絡んできた五人パーティが待ったをかけてきた。
つーか、パーティ名だっさ。
狙ってるのか?
「ルビードラゴンを単騎討伐ならゴールドはおろかすでにオリハルコン上位とも言える実力だぞ。わきまえないと死ぬぞ、お前ら」
「サブマス、おかしいだろ! いくらあんたがゴールドまで認定できる権限があるったってよお!」
「そうだそうだ! この獲物だって誰かに譲ってもらったやつかもしんねえだろ」
「バカめ、こんなものを譲るやつがいるか! よし、ならお前らが身をもって実力を理解するといいぞ。ここでゴールデンボールとアリサ殿で模擬戦をしてもらおう。よいですかな、アリサ殿?」
そう言いながらエンリケは私のところに近づいてきて小声で言う。
「申し訳ない、アラン様。しかし実力を見せないとまずいのも事実。ここはどうか模擬戦に応じてほしい」
「……いつから気づいていた?」
「あなたのような化け物がアラン様の紹介でくるとか、都合よすぎます。変身や変装のスキルをお持ちなのでは?」
「……勘のいい大人は嫌いだよ。まあいいか、どうせ口外できないんだし」
そこでゴールデンボールの面々を見る。
何やらイヤらしくニヤニヤしてるから【神眼】で見てみると、五人全員に婦女暴行の前科がたくさん。
遠慮する必要はないな。
ルビードラゴンを空間収納にいったん仕舞い込み、広くなった解体場で私と対峙するゴールデンボールの面々。
「かかってきなよ。記念に先手を打たせてあげるからさ。五人まとめてね」
そうでもしないと一瞬で終わって実力を見せられないからね。
「言ったなガキが。俺の好みじゃねーが大人の怖さをわからせてやる!」
「へへっ、俺は好みだぜ! 俺の巨砲でわからせてやんよ! 壊れるまでな!」
性器破壊予告とか自らの末路を宣言してくれるなんて素晴らしすぎる。
腕とか足の一本とかにしようかと思ってたけど、多分たくさんの女の人を破壊してきただろうこいつらも同じ目にあってもらわないといけないね。
そして、五人組が襲いかかってくる。
それぞれ長剣、槍、弓、魔法、ロッドだ。
それぞれタイミングを微妙に少しずつズラして攻撃して避けにくいあたり一応ゴールドというだけはある連携だ。
とはいえ、問題ない。
ギャラリーに分かりやすく大げさに動いて避ける。
フレンドリーファイアも狙ってみたけど、動線もちゃんとばらけていたからできなかった。
ちゃんと先手を取らせてあげたから今度はこっちから攻撃だ。
◇◇◇◇◇◇
限定近況ノートに第0.3話を追加しています。
本編には影響ありません。
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】
ランク:シルバー
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