第61話 連絡事項
「我が主がお知らせしたいことがございます」
と、冒険者ギルドのロビーで僕を待っていたのは執事。
別に冒険者ギルドの伝言板で「来い」って教えてくれれば気が向いたら行くんだけど、えらく丁寧だな。
特に心当たりはないんだけど、まあ話は聞こうかな。
ということで、執事さんについて行ってギース公爵邸に到着。
公爵邸なんだけど、改めて見ると意外に思ったほど広くはない。
僕のこの世界での元実家であるヴァーミリオン侯爵家とあまり変わらないのだ。
とにかく大きさや派手さを競う貴族にしては異端。
だが王弟であるためそのことを表立って指摘する者はいない。
僕には、その質素倹約さ(貴族的な意味で)があざとく見える。
派手さを競うなか敢えてその逆張りをする。
実は王位を諦めてないんじゃない?
口には出さないがそんなことを思いながら公爵様と会う。
◇◇◇
「ご無沙汰しています、公爵様」
「アラン少年よ、久しぶりと言うほど間は空いておらぬが、壮健そうでなによりだ」
「それはどうも。公爵様、僕に伝えたいことがあるとウォードさんから聴きましたが、一体どのようなことなのでしょう?」
「ふむ……。王都武神祭の時期が来ている」
「ええ、まあそうですね」
「優勝の商品は新たにスキルを得ることができる『スキルの書』である」
「そうみたいですね」
「ヴァーミリオン家(の雇った傭兵)が優勝することに決まった」
「!!!」
ってマジかよ。
「一瞬だが、君の驚く顔を見れて楽しいよ。この情報は気に入ってくれたかね?」
「食えない公爵様ですね。代わりに何をしろと仰せですか?」
「いや、単純な善意からだよ」
嘘つけ。
貴族の善意ほど怖いものはないぞ。
「それは信じていない顔だね。そうか、なら我が娘ニーナの婚約者になってくれまいか。助けられて以降君のことが気になっているようでね」
それも困るな。
僕を取り込む気まんまんじゃねーか。
「身に余る光栄すぎますので、辞退させていただきます」
実際ニーナ様は美人過ぎるからね、僕は気後れしてしまう。
「残念だ。茶番はここまでにしておいて、これはこの間の我らの無礼の詫びだ。ちなみに公爵家の派閥からは今回出場者は出ない」
「……そうですか。じゃ遠慮なく受け取りますね。情報ありがとうございます、ギース=レイジング公爵閣下」
◇◇◇
殊勝にも丁寧な礼を言ったアランが公爵邸を去ったあと。
「よいのですか、ギース様。いくら貴族の間なら容易く手に入るとはいえあんな情報を教えてしまって」
「かまわぬ。私にとっては取るに足らぬ情報だが、彼にとっては必要な情報であろう」
◇◇◇
聞いてしまったらやるしかないよな。
ケインが【剣聖】になるのを邪魔しなきゃ。
少し前にドラゴン狩りを邪魔してやったが、それだけではまだまだ僕を虐めていたことへの復讐には到底足りないんだ。
さて、どうするか。
うーん。
ん、あいつを使おう。
◇◇◇◇◇◇
前話の強精薬ですが、特に副作用はなく一時的に性欲と体力を上昇させますが、幻覚を見たりとか薬に依存するようになるとかはありません。
念のため。
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】
ランク:シルバー
いつもお読みいただきありがとうございます😊
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