第60話 剣聖になるため
side ヴァーミリオン家
実はケインはアグリスの描いている絵の登場人物にそっくりであり、というかアグリスは釣書を見てケインに一目惚れしていた。
一度はヴァーミリオン家と縁談をセットしてもらったが、もちろんケインはまともに相手せず破談に終わる。
しかし、アグリスは諦めていなかった。
『初めてはどうしても彼じゃないと嫌だ』と夢見る乙女のような駄々をこねる可愛い娘をどうしようかと考えあぐねるバタフライ家当主。
娘は可愛いと思っているが、客観的にどう見られているかはさすがに理解している。
おそらく娘の願いは叶えられまい、と悲観していた当主。
そこへちょうどヴァーミリオン家から王都武神祭の根回しの話がやってきた。
金銭的に少々困ったことになっていることを聞きつけ、誰を優勝させるか根回しの大半をバタフライ家が請け負うことを約束し、ヴァーミリオン家は代わりに息子を差し出すことを約束した。
息子には悪いが、【剣聖】を得ることが何よりも優先される。
家を継がせるためだ。
がんばれ、息子の息子よ。
◇◇◇
「何で僕がこんなこと…… いくら【剣聖】になるためとはいえ…… まあでもアグリスが相手ならやはりダメでした、で済むだろう。ちゃんと寝室まで来たんだから義理はもう果たしている」
「ケイン様……ずっとずっとお待ち申し上げておりましたわ♡ こちらのお薬をお飲みくださいまし♡」
ブラックオーガの強精薬なんかに負けるものか!
◇◇◇
「アグリス! もっとだ!! まだ足りないぞっ!!」
「はっ、んっ、んっ、私も、ですわ♡」
強精薬は完璧に効果を発揮し、彼の意思にかかわらず下半身は強制的に起動した。
とめどなくあふれる欲望は目の前の醜女という事実を軽々と飛び超えた。
なんでもいいからヤらないと体が爆発しそうだ!!
避妊具をつける時間すら惜しい!
◇◇◇
「すごかったですわ、ケイン様♡ 野獣のように私を求めていただいて…… お慕いしております♡」
「おくすりには勝てなかったよ……」
強精薬が切れた反動で一気に賢者モードに陥ったケイン。
朝日がまぶしい、とても。
バカ高かったというブラックオーガ製の強精薬の効果を身を持って知ったケイン。
もう終わったのにだるすぎてベッドの横でなお自分にしがみついてくるアグリスを跳ねのける気すら起きない。
眠い。
そういえば避妊具ぜんぜん着けてなかった。
そもそも用意されてすらなかったな……。
「感じますの、きっとデキてますわ♡」
お腹を愛おしそうにさするアグリス。
バタフライ家に嵌められた、と思ったがもう遅かった。
※アグリスも同じ薬を服用してました。
◇◇◇◇◇◇
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】
ランク:シルバー
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