第55話 使えないペンダント

 ホワイトキングタイガーウルフは、オークションの末に金貨30000枚で落札された。

 そして僕には手数料を引いた分が商業ギルドから入ってきた。



 商業ギルドはなんか『今回手数料は半分でいいし、何なら全部渡す』とか何とか言ってたが、そもそも入ってくる額が大きいのでどうでもよくなって別にいいですよ、って適当に返事しといた。



 ちなみに、冒険者ギルドも商業ギルドも口座もどきがあって、そこにお金を預けることができなくもない。



 残念ながら冒険者の下位ランクや中小の商人は預け入れた金が全ていっしょくたにされて保管されている。

 なので、金を取りに行ったら今金庫に金がないという事態があるし、ひどいのになるとギルド職員が横領してて『あなたの金はそもそも預かってません』とか言われることもある。



 ギルドにまともに金を預けているのは、何も知らない新人か、オリハルコンランク、大商人だ。

 もちろん、後ろ二者の金に手をつけると代わりに命がなくなるのでそこに手をつける愚か者はいない(はず)。



 僕は収納魔法の中に入れているので別にそういう問題は起きない。

 マジックバッグも収納魔法もない者は、自衛策を講じなければすぐに盗まれることとなる。

 厳しいね、異世界。



◇◇◇



 その後は、霊薬草をたくさん採取して(元は一番質の悪い薬草だけど)冒険者ギルドに納め、シルバーランクに無事上がった。



 そしたらそれを待っていたかのごとく、変な奴が寄ってきた。



「冒険者アランだな。我が主人が召し抱えてしんぜるとのことだ。着いてこい」



 まーた貴族か。

 軽装した騎士に囲まれちゃった。

 霊薬草の採取をしてる間は特にトラブルもなかったのにな……



 てか貴族が相手か。

 なら、ギース様からもらったペンダントが効くかな?



「このペンダントですけど、わかります?」



「この紋章はレイジング公爵家のもの……! 冒険者風情がなぜ? どこで盗んだ、貴様!」



 あ、そうだった。

 こいつらそういう考えするんだったわ。



 ていうか、ペンダントのご威光ないじゃん。

 御老公様の印籠みたいなのを期待してたのにさ。

 これ見たらみんなひざまづくみたいな。



 が、早計かもしれない。

 こいつらは下っ端だ。

 もうちょい偉い人だったら分かってくれるかも。



「貴様、聞いてるのか、無礼者が!!」



 槍の石突で突っつかれる。

 汚物を突っつくみたいな感じでするのやめてもらえないかな。

 まあ話聞いてなかったのは事実だけどさ。



「わかったから、案内して。着いてくから」



「ふん、最初からそうしろ。手間をかけさせやがって。そのペンダントは預かってやる」



「いえ、やめといたほうがいいですよ。これが本物で、公爵様から僕が直接受け取った物だったらどうするんですか? それを無理やり取り上げたらあなたのご主人様とか家族もろともただじゃすみませんよ」



 それ以前に僕から実力で奪い取るとか無理だと思うけどね。



「……冒険者風情が世迷言を! いいから渡せ! お館様に検分していただく」



 こいつの主人誰だか知らないけど教育行き届いていないんじゃない?

 ペンダント効果ないじゃん。



 もう意味ないなと思って、言われるまま差し出した。

 どうにでもな〜れ。



◇◇◇◇◇◇


限定近況ノートに第0.2話を掲載しました。

本編には影響ありません。



スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】

ランク:シルバー


いつもお読みいただきありがとうございます😊

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る