第50話 記憶剥奪

『ダークバインド、闇よ、こいつらを拘束しろ』


「地面から黒い手が……!」


「動けん! 魔法担当、打ち破れ!」


「無理だ、レジストできねえ! どんな魔力量してやがるんだ!?」




 おー、普段の鍛錬が活きてるな。

 常時魔法を発動し鍛えつづけてるし。

 今僕が自分に重力5倍魔法をかけてるなんて思わないだろうな。

 それでもなお別の魔法を使えるくらいキャパが増えている。

 


 んで、まあまあ広い地下室にいるのは20人ほど。

 全員拘束しておく。

 ミストみたいなやつがそうそういるとも思えないが念のためだ。

 本当はさっさと始末するほうがいいかとも思うけども。

 ま、早速聞くか。



「アンタ、どこに隠してる? あ、それは後でいいや。依頼人は誰?」



 隠してる場所は分かってる。

 一番奥にいるいかにもボスって感じの顔に傷の入ったやつが持ってるマジックバッグの中に入ってる。



「…………」



 答えるわけないか。

 なら、死ぬより辛い苦痛を。



記憶剥奪メモリースティール



 僕はそいつに悠々と近づき、頭に手を置いて暗黒魔法を発動する。

 記憶を奪う、というのはかなり魔力を使うようで、自分にかけてる重力魔法をいったん解除したくらいだ。



「グァォァォァォァォァォァォァ!!!」



 獣じみた咆哮が男からほとばしる。

 だがまだこれは序の口だ。

 今は記憶を引っ掻き回して探してる段階。



 見つかったのは、この顔のいかつい男がグリム商会の会長ってこと。

 グリム商会は闇ギルドの表の顔の一つ。

 いわゆるフロント企業ってやつかな。



 闇ギルド内での序列は第7位。

 依頼人は、冒険者ギルドのサブマス。

 それと、僕が最初にホワイトキングタイガーウルフを持ち込んだ時に対応したリーンが黒幕。



 リーンは何と『ダイアモンド』のトップの娘とのこと。

 ああ、あちこちに人を潜り込ませてるのか。

 じゃあ何で冒険者ギルドのサブマスが依頼人なのかというと、一つはサブマスとリーンが恋人ということ、それから万が一に備えてリーンが表に出ないようにということらしい。



 ってかさ、闇ギルドの娘とサブマスが恋仲なんてズブズブすぎじゃないか。

 これ取り返したところで後が面倒そうだなあ。



「ふーん、冒険者ギルドにもダイアモンドの奴らがいるのか。リーンだけじゃなくてゴールドの冒険者パーティも偽装させてそれなりにギルドに貢献させてる、と。どの世界でもやることはいっしょなんだねぇ」



 それを聞いた1人が拘束されたままの状態で驚く。



「バカな! そんな、まさか『ダークマスター』様しか使えない記憶剥奪メモリースティールをこんな奴が……」



「知ってるのか、魔法担当!?」



「やばすぎるぜ、これ食らった奴はみんな終わったあとに精神崩壊するんだ! ダークマスター様も日に一回しか使えない禁断魔法だ」



 あ、精神壊れるんだ。

 実際使わないと分からないもんだね。

 【リバース】で魔法をゲットしたらある程度使い方が頭に流れ込んでくるんだけど、使ったらどうなるかまでは分からないからさ。



 その他必要な情報を探し終わり、次の段階は記憶を抜き出す。

 その瞬間ここのボスはさっきよりも大きく吠えた後、別人のように痩せ細り、髪の毛が全て抜け落ちた。



 ああ、きっちり揃えていた短いリーゼントはなくなりツルツルになったな。

 これはこれでらしい感じになったけど。



 あらためて周りを見る。

 こちらを見る目は恐怖の色に染まっている。

 記憶剥奪メモリースティールを使われるとでも思ってるんだろうか。



 そんなもったいことはしない。

 記憶剥奪で使い終わったリソースをダークバインドの魔力に追加し、こいつらを闇の手で物理的に縛り殺す。



「ギャッ」「グェッ」「ウエッ」……



 ある者は首を捻られ、ある者は上半身と下半身に引きちぎられ、ある者は胸だけ潰されたり。

 魔法担当と呼ばれていたモブだけはちょっとだけ時間かかった。

 ちらっと【神眼】で見てみたら、序列12位でちょっと強い感じだった。



 そして、後に残るのは静寂だけとなった。



◇◇◇◇◇◇


※サポーターの方が増えましたので、

限定近況ノートに第0.1話を掲載しています。

本編には影響ありません。


スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】

ランク:ブロンズ


いつもお読みいただきありがとうございます😊

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