第49話 グリム商会
「すまねえ、ホワイトキングタイガーウルフが盗まれちまった」
え?
すまねえ、で済む話じゃないんだけど。
レイジング公爵邸から帰ってきたら商業ギルドから呼び出しがあり、ギルマスの部屋に呼ばれて内容がコレだ。
「もちろん、商業ギルドの全力を挙げて捜索してる。こんなことがバレたら信用ガタ落ちだ。だが、依頼主のお前さんに報告しないのはなお不義理だ」
商業ギルドともなればあちこちに伝手があるだろう。
それでも全く見つからないとなると、わりと限られた場所かアンタッチャブルな場所か。
隠さずに言ってきたんだからまだマシなほうか。
偽物用意して誤魔化すなんてのがこの世界のデフォだし、相手を格下と見れば『そんなことありましたっけ?』で済まされる世界だ。
「まあそうですね。仕方ない、『パーフェクトリサーチ』。これは、グリム商会の地下にある?」
「ああ? グリム商会の地下だぁ? やべーな。つーか、お前のそのスキルも大概だな。聞きやしねーけどさ」
「グリム商会の地下って、何かまずいんですか?」
「あー、なんだ、その、闇ギルド『ダイアモンド』の拠点の一つ、と言われてるらしいんだよな」
歯切れが悪いなあ。
「もしかしてそれって首突っ込んだ奴が生きて帰ってこないって感じですか」
「知らないのか? 『ダイアモンド』は最大の闇ギルドなんだぜ? 王侯貴族でさえ下手に手を出せないってな。最近モメンタム支部が全滅させられたから犯人探しに躍起になってるって噂だが」
モメンタム支部で全滅した闇ギルド……?
なんか覚えがあるようなないような……?
それよりも、僕のものに手を出したことは許せないな。
「これは貸し一つですよ」
「おい、まさか……」
「誰が闇ギルドに依頼したのかも調べないと」
「本気か? 闇ギルドにはオリハルコンクラスの力を持つ奴がわんさかいるって話だぜ」
「ダメだったら僕はそれまでの男だったってことですよ。とりあえず乗り込んできますね」
◇◇◇
カチャリ。
僕は真夜中に王都の真ん中にある中規模商会、グリム商会に侵入して魔法的な施錠をしてあるドアを開ける。
普通の人間には分からないんだろうけど、何もないところがあるとかえって違和感あるんだよね。
案の定、壁にしか見えない場所に解錠魔法を当てると反応してあっさりとドアが見えるようになった。
階段を降りていく。
「誰だ! ……新人か?」
部屋の入り口に一番近いやつが聞いてくる。
一番弱そうだがゴールドランクの中でも上位くらいの実力はありそうだ。
「かもしれません」
「なら洗礼の一撃を喰らいな!」
男から投げナイフが飛んでくる。
それの柄を人差し指と中指で掴んで反転させ投げ返す。
その速さに反応できなかったそいつの額にナイフが刺さり絶命した。
のほほんと見ているだけだった周りが殺気立つが、僕はそれにかまわず一番奥にいる男だけを見た。
「用件は、ホワイトキングタイガーウルフを返して、ってことなんですけど。ついでに依頼人も教えてください。そいつもお仕置きに行かなきゃいけないので」
◇◇◇◇◇◇
※サポーターの方が増えましたので、
限定近況ノートに第0.1話を追加しています。
本編には影響ありません。
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】
ランク:ブロンズ
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