第44話 雑草
ワークスは威圧を受けて恐怖で漏らしたうえに気がつけば見知らぬ場所にいた。
そこは赤く豪華なカーペットが敷かれた大部屋。
そしてでかい椅子。
まるで王宮の中、謁見の間のような……入ったことなんかないが。
あまりに場違いな場所。
腰に吊るしていた剣の紐が解けてカシャン、と音がする。
「何事だ!!」
今は賓客や儀式があるわけでなく誰もいないはずの謁見の間から物音がしたため衛兵が入ってくる。
「何者だ、賊か!」
「うっ、この匂いは……痴れ者め、謁見の間に侵入して粗相をするとは!」
ワークスは捕らえられた。
王宮への侵入方法を拷問されたのち、人知れず処刑されることになる。
なお、本人も何で王宮にいたか分からなかったため拷問されても答えることができず、侵入の方法は明らかにならなかった。
当分の間王宮の警護は厳しくなり、汚れたカーペットは全取り換え。
ワークスが冒険者であることはギルドカードですぐに判明したため、莫大なカーペット代は王都の冒険者ギルドに請求され、経理担当者の目が飛び出ることになった。
◇◇◇
side アラン
人を汚物呼ばわりした失礼な冒険者を相応しい場所に移してあげたあと、僕は霊薬草の採取依頼を受けることを受付嬢に告げた。
そのときに、『あの冒険者はどこに消えたんですか?』と聞かれたけど『恥ずかしくて逃げたんじゃないですかね』とだけ答えておいた。
さて、受けたはいいけど、霊薬草なんてどこにあるのかな。
一応過去には、王都から南西の森で見つかったことがあるらしいので、僕もそこに向かってみる。
南西の森に来てみると、何人かの冒険者と薬師がいた。
またなんかトラブルがありそうなので彼らを避けて森の中に入っていく。
適当に歩きながら草を【神眼】で見ていく。
『雑草』、『雑草』、『雑草』、『雑草』。
たまに『薬草』。
『月見草』なんかもあったりするが、霊薬草なんか見当たらないね。
いやになるほど草を【神眼】で鑑定し、そろそろ帰ろうかと思ったあたりで気がついた。
雑草を【リバース】すればいいじゃん。
そしてその辺の雑草は、【リバース】により『極薬草』に変化した。
これは最上級ポーションの材料だ。
これだけでも一儲けできそうだけど、別に金に困ってないんだよなあ。
僕が錬金術師だったらここからポーション無双が始まりそうなんだけど。
いくつか雑草を【リバース】してみたが、極薬草とか、特薬草とかにしかならない。
てか、ただの雑草なのに何で違いが出るのかな、って思って雑草を詳しく見てみる。
『たくましい雑草』、『力強い雑草』、『普通の雑草』……、『見窄らしい雑草』、……って、これだ!
『見窄らしい雑草』に対して【リバース】を使ってみると、『霊薬草』に反転した。
てかさ、『雑草』にもランク的なものがあるんだな。
いい勉強になったよ。
とにかくお目当てのものはゲットしたから今日は満足だ。
じゃ、帰ろうか。
そして、森から出て街道に出たところ、高貴そうな馬車が横転し、女の子が男に連れ去られていくところを見てしまった。
◇◇◇◇◇◇
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】
ランク:ブロンズ
いつもお読みいただきありがとうございます😊
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます