第29話 直感
「うるさい、アイアンごときが! 我々の言うことに逆らうな!」
「それは強い者に従え、ということですか?」
「そうだ! なぜそれがわからん!」
そう、その言葉を待っていたよ。
「ダークバインド!!」
ギルマスと衛兵を地面から生えた黒い荊棘が拘束していく。
「な、なんだコレは!?」
「さっき言ったじゃないですか、強い者に従えって。だから僕の言うことを聞いて下さいね」
「なっ……」
あっ、納得してないって顔ですね。
「んー、じゃあこうしましょう。このギルドで一番強い冒険者と戦います。そしたら僕が強いことがわかるでしょう」
◇◇◇
ギルドの訓練所。
冒険者たちもギルマス権限で数多く呼び出させた。
僕は4人組のパーティーと対峙していた。
ちなみにギルマスはまだ黒い荊に囚われたまま。
衛兵隊さんたちには黒い荊を解除して帰ってもらいました。
僕が威圧をかけながらギルマスの勘違いだったって言ったら素直に帰ってくれたよ。
相手のパーティは、全員ゴールドランク。
剣士、盾士、魔法使い、僧侶の組み合わせだ。
ドラクエかな?
リーダーの名前はクロードというらしい。
いざ戦おうか、ってなったとき、相手のリーダーが両手をバンザイしながら口を開いた。
「無理だ。死にたくない。俺は降りる。俺たちの負けでいいぜ」
まさかの言葉にギルマスは怒り狂う。
「ばっ、バカな! お前たちはミスリルに近いゴールドだろう! こいつをたたきのめせ!」
「だから無理だって言ってんだろ。俺はな、【直感】ってスキルを持ってるんだが、そいつがヤバいくらい警告してくるんだ。ドラゴンと対峙した時でもこんなことはなかった。すぐにでもそいつのランクを上げることをオススメするぜ」
おお、えらく僕を評価してくれる奴がいたもんだ。
別に殺すつもりはなかったんだけど。
「そういうことだ、ギルマス」
「まて、クロード、貴様らこの街にいられると思うなよ!」
「ああ、別に俺たちは王都に行けばいいからな」
そして、クロードは僕にだけ聞こえるように言った。
「いやあ俺らさ、あの岩石の雨あられ見てるんだわ。あんなの食らったら原型を留めてられねぇよ。ああ、お前がやったってことは言わねえよ。俺たちはあれで怪我もなく楽させてもらったしな。じゃあな」
ストーンシャワーを見られてたのか。
ま、言わないならそれでいい。
そういやギルマスに聞きたいことがあるな。
「ギルマス、何で僕のことを陥れようとしたの? 僕はただ生き残っただけなのに」
「…………」
「暗黒魔法、スレイブチョーカー」
喋らないなら魔法で喋らせるまで。
暗黒魔法でこいつを奴隷にする。
見えない首輪が彼に装着された。
そして、さっきの問いについて彼の意思とは関係なく彼の口が開く。
「あいつらはな、俺の言うことを聞く手駒だったんだ。気に入らない冒険者はあいつらに襲わせたり、獲物を横取りさせたりしてたんだ。お前ら冒険者は俺のことを現場のことがわからない事務屋、事務屋ってバカにするからな。ざまあみろってんだ」
途端に周囲から殺気が漏れ始めた。
おそらく被害を受けたことのある冒険者たちだろう。
あとはそいつらが勝手にこいつを始末してくれるはず。
僕は黙って訓練場から去った。
なんかギルマスの悲鳴っぽいのが聞こえるが、多分気のせいだろう。
◇◇◇◇◇◇
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】
ランク:アイアン
いつもお読みいただきありがとうございます!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます