第23話 ろくでもない出会いだった
あ、異世界のオークって陵辱しないんだ。
女騎士たちが白濁液まみれとかそんなことにはなってなくて、ただ殴り殺されて放置されているだけだ。意外。
そして唯一残った女騎士の後ろには傍目にもわかるくらい上質そうなローブを纏った女の子。貴族だな。
助けたあげく面倒なことにならないだろうか。
迷ってる間に女騎士の剣が弾き飛ばされ、火の魔法で儚い反撃をするもその後の攻撃で2人もろとも吹き飛ばされた。
お、すげー地面と平行にすっ飛んでるよ、漫画みたいだ。
もう迷ってる暇はないな。
とりあえず助けよう。
あとのことはそれから考えよう。
真横に黒鋼の剣を振り抜き、剣閃を飛ばす。
風を巻き起こしながら飛んでいく剣閃は、女騎士を殴り殺そうとしていたオークの上半身と下半身を分断した。
「ブモッ?」
最後の言葉は間抜けだった。
残りの四体のオークがいっせいにこっちを見る。
こっち見んな!
【神眼】を発動して見てみると、こいつらはロイヤルオーク。
相場もなかなかのものだが、こいつの肉はなかなか美味らしい。
ただし、食材としては高難易度らしく、【料理】スキルにかなり習熟した者でないと美味しさを引き出せない、と。
それもそうだが気になるのは、『ロイヤルオークたちの主人:メルクリウス・グローリア』、って情報。
ここは、グローリア王国。
メルクリウスは第一王子の名前。
あーもうなんかね、やべーよな。
いろいろと。
あの2人も第一王子に命狙われるくらいの貴人なんだよな。
あっ、残りの4体がこっちに向かって走ってきた。
ちょっと大ぶりに横一文字に剣閃を飛ばす。
オークたちの下半身が上半身を置き去りにして2歩、3歩と歩き、思い出したように血を吹き出しながらドッと倒れた。
始末完了。
とりあえずマジックバッグにこいつらを収納して、倒れている女騎士に近づく。
その下に庇われている女の子は僕の顔を見て小さな声で『助けて……』と言った。
乗りかかった船だ。
貴人なら報酬をたくさんもらえるかもな。
そんなことを思いながらエリクサーを取り出して瀕死の女騎士に少しずつ飲ませた。
「ぐっ、がほっ! これは体が治っている? そうだ、姫様は? 姫様!」
完全回復した女騎士は僕を無視して姫様のほうを向いて無事かどうか確認した。
「よかった姫様は無事か……。そこのお前、感謝するぞ。ん、冒険者風情か。まあよくやったと誉めてやろう。姫様を助けることができた栄誉を胸に刻むがよい!」
女騎士の後ろではその主人と思われる姫様が申し訳なさそうな顔をしていた。
「さて、他のプリンセスガードたちをマジックバッグに回収して……城で弔わねばな。馬車は壊れているしもう夜だ。おい、冒険者、姫様に相応しい寝所を用意しろ!」
女騎士の後ろで姫様はブンブンと首を横に振っていた。
「はあ、分かりましたよ。一応泊まれるような小屋は作ってますからそちらへどうぞ」
「貴様、姫様を歩かせるつもりか! 気の利かないやつめ!」
んなこと言っても場所は離れてるし、縮地使って戻るとアンタら置いて行くことになるだろ。
「馬車は壊れておりますし、僕はそもそも徒歩なんですよ。申し訳ないですがご足労願います」
やはり姫様は女騎士の後ろで申し訳なさそうにこちらを見ていた。
こんだけ主人が萎縮してるのにそれに気づかない騎士なんて、騎士失格じゃねーの?
それにさ、僕この2人の名前すら聞いてないんだよ?
向こうは向こうで冒険者風情ってバカにして名前を聞こうともしない。
名前は【神眼】で見ようと思えば見れるがもうなんか見たくない。
◇◇◇◇◇◇
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】
ランク:アイアン
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