第19話 強制奴隷

 闇ギルドのアジトにいたやつは全員始末してきた。

 あとから戻ってきたやつもまとめて。

 地下室を探すと依頼書が山ほどでてきて、その中から僕を殺害、マジックバックを奪う内容の依頼を見つける。



 ついでにアジト内の金貨とか装備ももらっておく。

 売り飛ばせばまあまあ金になりそうだ。



 じゃあ次は本命の子爵邸だ。



 ああ、資料の中にモメンタム子爵邸の見取り図もあった。

 さっすが闇ギルド、準備がいいね。

 どうせ子爵が裏切ったりした場合に備えてだろうけど。



◇◇◇



「まだ、まだ闇ギルドから連絡はないか!」



「いえ、旦那様。まだでございます」



「ギルド職員が見たというホワイトキングタイガーウルフ。その毛皮を王家に献上すればこんな田舎でなくもっと豊かな土地に領地替えも間違い。そうだ、第二王女と我が息子を娶せることもできるかもしれん。いや、の第三王女でもかまわん。とにかく王家とのつながりができれば」



 モメンタム領を治めるモメンタム子爵とその家宰。

 日に何度も同じことを聞かれる家宰は我慢しながら同じ答えを返していた。

 だが、確かに報告が遅い。

 いつもなら日に一度は必ず闇ギルドから連絡があるはずだが。

 まさか、しくじったか?



 そして夜。



「あまりに遅くないか? しかし奴らは高い成功率をウリにした暗殺者集団。こんな地方支部でもそれなりの戦力があるはず。まさか冒険者なりたての小僧に遅れをとるはずが……」



「もしもしこんばんはー。子爵サマですかね? あなたの目的がわざわざ来てあげましたよー」



 さて、目の前にいるのは中年のすだれハゲ親父だ。

 ついでに横にも太いな。

 マールちゃんちのような痩せ細った家庭をほっといて何でブクブク太ってるのかと小一時間問い詰めたい。



「な、なんだ貴様は一体? どうやってこの部屋に? 衛兵は何をやっている!」



「いやあ、お屋敷の見取り図が闇ギルドにあったんで直でここに来ましたよ。他の人は気絶してますね」



 運悪く僕と遭遇したやつは威圧で気絶させている。



「なっ、あいつら……ふざけたことを」



「自分の身の上を心配したらどうですか? 闇ギルドは壊滅させてきました。で、僕がここにいる。どういうことかわかりますよね?」



「で、出鱈目を!」



「どうせそのうちわかるからいいんですけど、僕のホワイトキングタイガーウルフを奪うよう依頼してましたね? 依頼料いくらかかったんですか? それは僕から正当に買い取るより安いんですか?」



「何の話だ?」



「常識の話ですよ、子どもでもわかる。買い物したけりゃお金がいる。ちょろまかそうとしたら罰を受ける上ほしい物は手に入らない。ご両親から教わりませんでした?」



「やかましいぞ、冒険者風情が!」



 話にならんな。

 侯爵家の父を見て分かっていたけどさ。

 やっぱりこの異世界のナチュラルに人を見下すのは好きになれんわ。



「じゃあ、僕を殺すことを依頼したあなたには、同じように死んでもらいます。でも、貴族だから、貴族的に死んでもらいますね」



「何を言ってるんだ、貴様は!」



 色々考えたけど、レスト商会をけしかけたのもこいつだろうし、今回の件と合わせても普通の死では足りない。



 だから、



「強制隷属、発動!」



 事前に【リバース】で修得しておいた【暗黒魔法】を使ってこいつを奴隷にする。

 奴隷にする魔法は【闇魔法】で使える。

 当然僕はその適性がないから反転させると【暗黒魔法】になった。



 強制的に奴隷契約を結ばされた子爵に奴隷の首輪をプレゼント。

 実は有り無しを選べるのだが、誰にでも見えるようにしておかないと意味がない。



◇◇◇◇◇◇


スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】

ランク:アイアン


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