第18話 闇ギルド・モメンタム支部
と、やってきました場末の酒場。
看板がないので何と呼んでいいか分からないがまだ昼なのでクローズの看板がかかっている。
鍵がかかっているので無理やり押して壊して入る。
中には6,7人ほど気配の薄い人間がたむろしていた。
「敵襲か? 何だガキか。えらく力が強いな。来るとこ間違ってるぜ、坊や。修理代払ったら見逃してやるぜ。なけりゃ借金奴隷落ちだ。強ければスカウトされるかもな!」
という構成員の言葉は無視して、【怪盗紳士】のスキル『気配察知』で目的の人物を探す。
お、地下にちょっと強い反応がある。
闇ギルドのボスかな。
素直に案内してもらえるわけないから一芝居するか。
無言を貫く僕に対して構成員たちが襲いかかってくる。
投げナイフを躱し、魔法の火の玉も躱す。
気配を殺して背後から近づいてくるやつの短剣をこちらも短剣で受け止めて、力で押されているフリをする。
「ちっ!」
と捨てゼリフを吐いて壊したドアから逃げる僕。
あれ、これじゃあ僕が悪役みたいじゃん。
ともあれ外へ出てすぐに気配を消す。
4人ほどが僕を追いかけて外へ出てくる。
その隙を縫ってまた建物の中に入ると、ちょうど1人がカウンターの奥に沈むように消えて行った。
多分ボスに報告に行ったんだよね。
報連相は大事。
だからそいつのあとをつけ、隠し階段を降りて行く。
◇◇◇
「妙なガキがやってきた?」
「ええ、左眼が金色のガキでさあ、ボス」
「認識阻害とロックの魔法をかけた入口だぞ? どうやって入ってきたんだ?」
「力づくで壊されてました」
「そいつは今回のターゲットだ! 殺したのか? マジックバッグは?」
「いや、逃げたので今追っかけてまさあ。すぐに簀巻きにされて連れてこられるでしょう」
「ぐっ、あいつはうちのナンバー3を自爆させてるんだぞ。もっと人数を集めて不意打ちしなけりゃ捕まえるどころか返り討ちだ。この本拠地も変えねばな。どうして把握されたのか……」
「本拠地を変える必要はないよ」
気配遮断を解いて姿を現す。
と同時に全員に向けて威圧をかける。
「ぐっ、がっ……」
「さて、アンタがボスか?」
僕はロマンスグレーの中年の男に向かって話しかける。
そいつ以外は威圧ですでに気絶している。
「そういうお前はアラン、か」
「そう。で、僕を狙ったのは誰の依頼?」
「ふっ、話すわけなかろう」
「そっか。全部話して以降僕を狙わないなら見逃してあげようかと思ったんだけどなあ」
「組織を舐めるなよ、クソガキ。どうせ多少強いスキルを持ったからって調子に乗ったんだろ。そんなやつは今まで掃いて捨てるほど見てきた。全員惨めな最後だったぞ。お前もそうなる」
「そうかい。『パーフェクトリサーチ』、こいつの依頼人の場所を示せ。……モメンタム子爵邸、か」
「な、なんだそのスキルは!? 聞いたこともない。だがそんなもの証拠にはならん!」
その必要はないんだ、僕にさえわかっていれば。
だいたいこの異世界だと前世みたいなまともな裁判制度はない。
『疑わしきは罰せず』どころか『正しくても罰する』だからね。
証拠を提示しても貴族に都合が悪ければなかったことになる。
貴族対平民なら形だけの裁判すらなくいきなり刑の執行だ。
貴族同士だとより上位の貴族が優先される。
「子爵邸か……。ってなるとお目当てはホワイトキングタイガーウルフかな。素直に正当な対価を払えばあげたのにな」
「本当にホワイトキングタイガーウルフの毛皮を持ってるのか……?」
「アンタ依頼内容を疑ってるのに依頼を引き受けたのか? バカだな。じゃあさよならだ」
「組織は貴様のことを地獄の果てまで追うぞ……!」
「あっそ」
◇◇◇◇◇◇
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】
ランク:アイアン
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