第17話 アイアンランクに昇格
レスト商会に襲われたときよりちょっと強い暗殺者だったが、問題なく捕縛。
さて今度は誰の差金かな?
……と今回のはちょっと無理めかもしんない。
【神眼】で見るとこいつ【アサシネイト】とか【拷問耐性】とかあるし。
あと変わったのでいえば【自爆】なんてのもある。
……え、【自爆】!?
暗殺者の体が光り出したので慌てて抱え上げ借りてる宿の部屋から出て思いっきり上空へ放り投げる。
直後、夜空が一瞬だけ昼間のように明るくなった。
◇◇◇
突如、あたりに閃光が走る。
この光の意味を知る者はあまり多くない。
そしてそれを知る者は子爵からの任務の失敗を悟った。
「これは……追加の人員が必要だな。ああ、赤字になるかもしれん。念を入れてうちのNo.3を投入して過剰だとさえ思ったのだが。やむをえん、達成率を下げるわけにはいかん。次はさらに慎重に行わねばな……」
モメンタムの裏社会を牛耳る男に果たして次があるのか、神のみぞ知る。
◇◇◇
じ、自爆しやがった……
物騒すぎるぜ異世界。
暗殺に失敗したら自爆で殺す。
恐ろしい二段構えだ。
さて、ここであの暗殺者と戦ったという繋がりができたことだし、『パーフェクトリサーチ』!
さっきの暗殺者の根城はどこだ?
と調べると少し街外れの酒場が頭の中に浮かんできた。
夜があけて、向かったのは冒険者ギルド。
「ミーティアさん、ギルマスに話があります。昨日の件について」
「え、あ、はい。昨日の件というと? 夜中に明るくなった? いや私寝ていたので知らなくて……ちょっと待ってて下さい」
ギルドの職員なのにのんびりしてんな。
あれはどう考えたって異常事態じゃないのか?
それとも暗殺者が自爆して夜空を照らすのは日常茶飯事なの?
少ししてギルマスの部屋に呼ばれた。
「アラン様……いや、アラン。昨日の件についてとのことだが、ありゃあ【自爆】の閃光だな。何でも上空で弾けてたらしいが、あれだけの光だ、かなりの上位者だったはずだ。もしかして闇ギルドに手を出したのか?」
「いえ、手を出してきたのはあっちです。ところでこの場所知ってますか? 街外れの酒場なんですが」
「そりゃあ、知ってるやつは知ってるが何でまた闇ギルドのモメンタム支部の場所を知ってんだ? ホントに手を出してないよな?」
「いや、場所を知ったのは最近なのでギルマスに裏をとりにきたのです。手を出すのはこれからです」
「敵対するのか?」
「昨日宿で襲われたので。あとはそいつらの真意を聞いてから処分を決めます」
奴隷の首輪をつけたギルマスは呆れたようにこちらを見た。
「いやまあご主人様ならできるかもしれんがよ……潰したところで王都に本部があるからそっちから新たに人員が派遣されてくるだけでキリがないぜ」
「僕の邪魔をしなければいいというのをわかってもらえればいいんですよ。最低限のことしかするつもりはありません」
「闇ギルドの本部にゃあオリハルコン級の実力を持った暗殺者が何人もいるって話だ。いくらアラン様でも……」
ていうかさ、僕が死ねば奴隷契約は解除されるじゃん?
ギルマスにとってはそっちの方が都合がいいんじゃ?
何で僕を心配してるの?
「アランさ……アランと合意で奴隷契約を結んでたことが知られれば俺も仲間とみなされて始末されるだろうからな」
ああ、そう。
まあでも多分大丈夫。
【怪盗紳士】はアサシン系スキルの最上位でもあるからね。
じゃあ、そろそろご挨拶に行くかな。
「あの、あとランクの昇格をさせていただきたいのですが」
「僕まだ何もしてないよ?」
「いえ、ギルドカードには倒した魔物も記録されてまして、ホワイトキングタイガーウルフを倒してるのにコッパーってのありえなくて。それをそのままにしておいたらギルマス失格にされちまう」
そっか。
ギルマスという立場がなくなったら今回みたいに聞きたいこと聞けなくなるかも。
「じゃあアイアンに昇格でいいよ」
「ええ、受付でギルドカードの更新をお願いします」
◇◇◇◇◇◇
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】
いつもお読みいただきありがとうございます!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます