第6話
さて、ダンジョンに潜るならよく覚えておかないのは「ダンジョンの物を口にするな」ですね。
私は自分の好奇心や飢えから口にしてしまいましたが、特に水は危険です。
なのでこうやってソロキャンをするときでも水は持ち歩きます。
鍋に少し水を張り、カセットコンロで熱して蒸し器を投入。
勿論手抜き小籠包を入れてですよ♪
さて、動画配信の設定に悪戦苦闘していると美味しそうな匂いが漂って来ましたね~
最近のサイトは設定しにくくて困りますが、こうやって難解なものを理解することが老いを防ぐのでしょうね〜
「あちちっ……」
蒸し器を取り出して蓋を開ければプルプルと艷やかな小籠包。
あ、そうそう、料理をするならコレは覚えておいてくださいね。
既製品の皮を使うのを恥ずかしがるのは三流ですよ。
第一皮の手作りは時間がかかりますし分量が面倒!
ですが既製品の皮なら余ったとしてもケチャップを塗ってチーズを乗せてオーブンでチンすれば一口ピザとか応用が出来るのでおすすめです♪
さて、割り箸を取り出しレンゲに乗せていただきます。
うん、少し齧ると中から煮凝りが溶けたスープがあふれるのにそれに負けない強い肉の味わい。
赤ベコは脂身が少ないですがそれ以上に赤みの「肉!」って味わいが強く、逆に凄い黒豚は脂身が多く肉よりも甘い脂を飲ますって味わい。
そしてこの優しくも存在感を決して消さないスープ、皮がシンプルだからこそ受け止められる良さですね〜
「それで此処にビールが!」
肉の旨味と脂の甘味、そしてスープの熱さが残る口をサッパリ流してくれるカントリーのビール。
本来はユウヒのウルトラドライが好きなのですがお歳暮で沢山いただいたので今回はカントリーです♪
でもどうして中華ってビールとの相性が良いのですかねぇ〜
餃子しかり麻婆豆腐しかり小籠包しかり、やはりビールと中華の相性は産まれの国は違えど出会うべくして出会った奇跡の恋人ですね♪
さて、前菜を食べきったら次はメインディッシュですね。
私は配信用ドローンを起動し、先程終えた設定のまま動画配信を始めてみます。
「はい『おじチャンネル』のトラさんです
今日は魚釣りと調理をしていきますね♪」
視聴者は零ですが、たまたま見かけた人がアーカイブ?で見たときの為に自己紹介はしておきます。
私は特性釣り竿を取り出し、針に餌を着けて糸を垂らすのだった。
「さて、初めての配信なので一応このチャンネルが何なのか説明しますね〜
このチャンネルはソロキャンパーの現地メシと作った料理を楽しむだけの配信ですので、戦闘とかは期待しないでください」
流石に動けないので。
乾いた笑いを一つすると、二名の来客。
へぇ〜こんな感じで教えてくれるんですね〜
・ソロキャン好きです
・なに狙いなんですか?
「あ、いらっしゃいませ〜
正式名称が解らないので適当に呼んでる名前なんですけど、骨なし鮎と虹色鮭
それと出来ればヌシを食べたいなって思いまして」
・骨なし鮎?
・虹色鮭?
「はい♪
骨なし鮎は骨が無くて、でも鮎に近い味と身の弾力が素晴らしい魚なのですよね~
虹色鮭は皮が光の角度で変化するのでそう呼んでるのです♪
ヌシは……私も三度しか食べたこと有りませんがとても美味しいので、此処に来たら是非食べてみてください♪」
視聴者さんは私の解説で味を想像したのか、食べたい!や飯テロやんけ!?なんてツッコんでくれます。
成る程、確かにこんな感じでツッコんでボケては癖になりますね。
お二人の事を思い出してると登る階段の方から騒音が聞こえてきました。
もう、騒いでは魚が逃げてしまいますよ!
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