第20話 序曲


 ダンジョンのあるところまでタクシーで来た。

「こ、ここですね」

「よし!んじゃ、1階層から順に上がって行くからな!」

「「はい」」

 2人とも装備はしている。

 後はどれだけ動けるかだな。

「1階層はスライムだから魔法で倒すように」

「はい!ファイアーボール」

“ボウッ”と燃えて消滅した。

 ドロップに青スキル玉があったので鑑定してみると疾風だったので渡す。

「え?これは?」

「スキル玉だ、たまにモンスターがドロップするから、でもなんでも開けるなよ?鑑定は俺が持ってるから、ちなみにそれは疾風だ」

「はい!あ!」

 疾風を使って早く動く四ツ谷、

「くそ!俺だってウォーターボール」

“ドンッ”と当たって消滅する。魔石のみのドロップだな。

「南原、まぁ、まだまだ倒してもらうからな」

「はい!」

 やはり職業のせいかまぁ、武器や適正もあるんだろうがもう三階層に来ている。

「てやぁ!」

「せい!」

 2人とも言わなくてもモンスターを倒している。


「やった!スキル玉です!」

 と持ってきたのは南原だ。赤のスキル玉で中身は迅雷か、2人そろえば良かったがまぁ良いか。

「迅雷だ!いいやつだぞ!」

「やり!」

「あ、頂戴よそれ」

「やだね!」

 開けると赤のエフェクトが出て覚えたみたいだ。

「ぶー!」

「迅雷!」

“バーン”と雷が鳴り響く!

「すご!」

「あ、あはは」

 そうこうしてるうちに5階層、ボス部屋だ。

「ここは、ボス部屋で5階層ごとにあるからな、ここのボスはオークだ」

「「はい!」」

「んじゃ行こうか!」

 扉を開けるとラッキーなことにオークナイトだった。

「たまにあるが一つ上のランクのボスが出てくる時がある、それが今だな」

「えー!」

「ほらくるぞ!」

「ファイアボール!」

 オークナイトには通用しない。

「おらぁぁ!」

 押し負けて行く南原の横から四ツ谷の突きが当たると怯むオークナイトに南原が渾身の斬りを放つ、とオークナイトはたじろぐと、南原が「『迅雷』」を放ちオークナイトは消滅する。

「はぁ、はぁ、はぁ、」

「はぁ、はぁ、はあぁぁぁー」

「どうした?まだまだだぞ?」

「ええー!これで今精一杯ですよ」

「ですです!今日はここまでにしましょうよ」

「嘘だよ、んじゃ怪我はしてないみたいだな」

「「ハイ!」」

「よし!歓迎会をするから会社に戻って防具と武器を直して出かけようか」

「「ハイ!」」


 焼き鳥屋にいき乾杯すると自分のステータスを見てレベルが上がってるのに興奮する2人。

「あはは、そんだけ倒したからな」

「凄いっすね」

「オークナイトはやばかったっす」

「ねー!ビックリしたもん」

「まだまだ強いのがいっぱいいるからこれから毎日レベル上げだな」

「「はい」」

「課長はどこまで行ったんです?」

「ん?とっくに攻略したよ?50階層」

「あ、あはは、50もあるのか」

「2人の装備もドロップだしな」

「そうなんですか!」

「自分のが欲しくなったら鍛冶場に行って頼むといい」

 あの2人なら喜んで作ってくれるだろう

「うちの会社鍛冶場まであるんすか!」

「会長に頼んだら作ってくれたよ」

「凄いっすね」

「会長と会ったこともないのに」

「まぁ、運が良かったんだよ」

「あ、あとできれば女性用の鎧が欲しいですね」

「あぁ、考えとくよ、それまではあの鎧で勘弁な」

 と酒の肴は尽きないな。

 2人ともそれなりに酔って帰って行った。

「部下ができるなんて初めてだな」


 ビル群から見える星は異世界で見た星よりも見えないがどこかで繋がってるのかな?


 なーんてことを思いながら酔い覚ましに歩いていると突然殺気が来て振り返るとそこには聖女がいた。

「こんばんは」

「…こんばんは、何かご用で?」

 しっかりとした服を着ている聖女を見たのは最初以来かな?

「あなたは邪魔ね」

「それはいきなりひどいな」

「殺してあげる」

 それは酷く遅い剣で俺には通用しない。神速で避けると、

「逃げるなんて卑怯」

 鑑定をする。

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 黒木一美クロキヒトミ  18歳

 レベル99 職業 聖女

 スキル 聖属性魔法極 聖女の祈り 聖女の輝き ダンジョン創造 黒き波動 魔剣術極

 ユニーク 聖女 魔王

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「刺されたくはないだろ?それよりもお前は何がしたいんだ?」

「答えは至極簡単で魔王の代わりよ」

「世界をそれで支配できるとでも?」

「もうタネはまかれたわ」

「ダンジョンか、いらないダンジョンは消すぞ?」

「うふふ、できるものならやりなさいよ」

「ふぅー、俺がその気なら殺せるぞ?」

「あははは、これが最後のチャンスかもよ?」

「は?舐め過ぎは良くないよ?」

「舐めてなんかない!わたしは聖女で不死身なのよ」

「…」

「残念ね、時間切れだわ」

 地震が起きた!大きな地震だ!

「な!なにが起きてる!」

「ふふ、あははは、これはそう序曲に過ぎないわ」

「お前!」

「じゃあね」

 と消えた聖女に少し恐ろしくなった。

 地震が収まるとアラームが鳴り響く。

「遅えんだよ」

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