第3話 9人


 その頃王城では、

「飯を出せよ!飯を!」

「だから金は渡したから食ってきなよ!」

「は?なんで俺がここを出て食いに行かないといけないんだよ!」

 と兵士と揉めているデブは忠野克己タダノカツミ、42歳だ。

「私はご飯食べに行こうかね」

 おばちゃんは佐伯真衣サエキマイ、45歳。

 

 それを見ながらタバコをふかしているのが軽薄そうな進藤宏シンドウヒロシ、24歳。

「くそっ!これで最後のタバコじゃねーかよ」

「タバコなら下町に売ってるぞ」

「くそっ!買ってこいってか!?」

「ここは開けておくさ、そう言う命令だからな」

「チッ」

 と言ってヒロシはタバコを買いに出掛けて行った。

 残っているのはカツミだけだ。

「城なんだ!飯くらいあるだろ!」

「だからここは飯どころじゃないって言ってるだろ!」

「けっ!」

 とふて寝する。

 この3人は城から出て行く気はない様だ。


 さてこっちは、

「うおりゃぁぁぁ!」

 レッドアイグリズリーにトドメを刺す勇者、近藤吉彦コンドウヨシヒコ17歳、

「俺にも戦わせてくれよ!」

「まだダメです!もっとレベルを上げてからにしてください」

 と姫はヨシヒコの汗を拭きに行く。

「だが俺は強くならなきゃダメなんだろ?」

「今は我慢の時ですのでもうしばらく辛抱してください」


 兵士が弱らせた魔物を倒すパワーレベリングをしているヨシヒコと、その傷ついた兵士を癒す聖女、黒木一美クロキヒトミ、17歳はそのヨシヒコと姫を見ていた。


 賢者、斉藤健一郎サイトウケンイチロウ、18歳は勉学に励むが、下で行われているその様子を見て聖女がおかしいことに気がついていた。

「あのバカ勇者に言っておかないとな」


 これが召喚された残りの6名である。


 そして、俺たちはダンジョンというところに来ている。森の中にも魔物がいるらしいが解体出来ないのでまた今度だな。

 2人もギルド証を作ってから一緒に潜っているが、なかなか強い。

「ッシ!」

 ルナの矢が当たるとモンスターは消滅してドロップを落とす。今は3階層のゴブリンを相手にしている。

「ニンニン」

“カッカッカッ!”

 とクナイを刺して倒しているのはヨミだ。さすが忍者だなぁ。


 っと俺も負けてられないので神速で斬っていく。3体消滅させると2人ともすごいと喜んでいる。


 五階層に来た、扉がありボスだと感じさせる作りだな。開けると勝手に扉は閉まる。オークだな。さっさと倒そうと神速を使い一閃で倒す。スキルの青玉を落とした。あと肉と魔石だ。宝箱が出てきて開けたそうなんで譲ると。

「「じゃーんけーん」」

 ヨミが勝ったらしく開けるとスキルの青玉一つと銀貨が5枚入っていた。

 青玉は一つが解体で一つは料理だった。

 解体は俺がもらい料理はヨミが欲しがったのであげる。

パーティー登録をしているので経験値は三等分だ。もっと強くならないとな!


 帰りにスキル屋に寄ると解体があったのでルナに解体を渡す。

「私にですか?」

「出来た方がいいだろうからな!」

「はい!」

 本当はもう一つ欲しかったのだがないのでしょうがない。

「またきてくれよ!」

「おう」

 夜も一緒に飯を食い、明日は外に行こうかと話している。

「解体ですね!」

「あぁ、それもあるが外でもやっていけるか見ないとな」

「そ、そうですね」

 聡いルナなら分かってるだろうがいつまでも一緒にいるつもりはない。


 1人になるとようやく1人になれたと気が抜けるなー。やはり1人が落ち着くな。

 2人の面倒を見ながらだと気が抜けないと言うか怪我させるのが怖いと言うか。

 もうちょっと強くなったら2人にしてもやっていけるだろ。


 次の日は朝から山の中だ、といってもゴブリンの森と呼ばれて初級冒険者が通うとこらしいしここなら大丈夫だろ?


「ッシ!」

 と矢を飛ばすルナにクナイや火遁を使うヨミ、これなら十分やって行けるだろう。


 次の日も一緒にダンジョンを攻略して行く。どんどん吸収して行くルナとヨミに負けない様に俺も頑張っている。と言うか達人はチートだな。


 五日働いて休みを作る。

 流石に連勤はきついだろうから今日は休みだ。と思ったら呼ばれて買い食いしたり買い物したりして時間を潰す。やはり日本と生活が違うから中々時間の使い方がわからないみたいだ。


 また次の日もダンジョンでレベル上げを行う。流石に15階層より下はまだ行く気になれない。15階層のボスはゴーレムで「e」の一文字を消すとmeth(死)となり、ただの土になってしまうがそれが中々大変だ。

 だがそれまではなんとかやれてるしレベルも上がってきたのでそろそろ大丈夫だろう。


 で、帰りがてら話をすると、

「今日で大体わかったと思うし、これでやっていけるな?」

「はい」

「俺は1人が気楽で好きなんだ」

「分かりました!今までありがとうございました」

「ほんとに?」

「あぁ、あとはレベルを上げていけば大丈夫だ」

「「はい」」

 汚い大人でごめんな。


 一週間たった。俺は朝飯をゆっくり食べてから門に行くと、ヨミが走ってきて倒れてしまった。

「どうしたヨミ!」

「お姉ちゃんが」

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