第14話 カーランド王生き返る

 

「エリクル!」


 俺は、ドラ○エ魔法を唱えてやる。

 すると、王様は、パッチリ目を開け、何事でも無いように起き上がった。


 やっぱり、ドラ○エ魔法スゲー!


 寝所に居た者達は、目ん玉飛び出して驚いている。

 俺が見えてる者達は、精霊スゲーとか言ってるし、見えて無い者は何が起こったのか全く分かってない。


 多分、セリカ姫が振り掛けたエリクサーが効いたと思っているのだろう。


 てか、セリカ姫、俺が一緒じゃなきゃ詰んでたじゃん。


 この王様、俺の事、薄らとしか見えてないよ。多分。メッチャ目を凝らして、俺の事見てるし。


【恐れながら、申し上げます!アルフォード王を生き返らせて下さったのは、ここにおられます。精霊王様でございます! 】


 何故か、カーランド王国の宰相で偉い人らしいリーフが、王様の方を全く見ず、俺に土下座したままの状態で、今の状況を王様に伝える。


 どうやら、リーフは、この国の宰相でありながら、その国の王様より、俺の方がとても偉い人だと思ってるようだ。


 多分、俺にお尻を向けるなどトンデモないとか思ってるに違いない。


【それは、まことか……精霊王殿が、わざわざこの国に来て下さったのか……】


 王様も、信じられないという顔をしている。

 そりゃあそうだよね。

 俺の前任者の森の精霊は、どうだったか知らないけど。

 俺って、森に100年間も引き籠もりしてた訳だし。


「おい! 俺は、セリカ姫に懇願されて、この国に来てやったって言ってやれ!」


 俺は、リーフに命令する。

 セリカ姫の好感度をアップさせる為に。

 俺は、可愛い女の子に好かれたいのである。


 カーランド王国の宰相であるリーフに命令?

 まあ、命令してもいいでしょ。

 俺に土下座してくるくらいだし、俺から命令受けたそうだし。きっとドMなのだ。


【カーランド王、精霊王様は、セリカ姫に請われて、カーランド王国に来たと仰られてます!】


 リーフは、俺に土下座してるから、王様にしりを向けたまま、通訳する。


【そうか……セリカが、ワシの為に、あの魔の森に行ってくれたとういのか……】


 どうやら、王様は、セリカ姫が王様の病気を治す為、エリクサーを求めて魔の森に赴いたとは知らなかったようだ。

 まあ、本当に、死の間際だったぽいから、そりゃあ知らないよね。


【精霊王殿。そして、セリカ。本当に感謝する!】


 カーランド王は、俺とセリカに威厳に満ちた表情で、堂々と、上から目線で感謝の言葉を述べる。

 何故か、セリカ姫は号泣。

 よっぽど、褒められ嬉しかったのだろう。


【カーランド王、流石に、お礼の言葉を言うだけでは、精霊王様に失礼だと思います!】


 何故か知らないが、リーフが汗をダラダラ垂らしながら、王様に進言する。


【そうじゃな、そしたら、精霊王殿に褒美を取らせよう!】


 カーランド王は、尊大な態度で言い放つ。

 それに焦るのは、リーフ。


【違います!カーランド王!精霊王様は神に匹敵する存在です!褒美じゃなくて、貢物です!

 言葉を間違えないで下さいませ!】


 なんか、リーフが王様に怒っている。

 コイツ、どんだけ俺の事が大好きなんだ。

 流石に、一国の王様が、ただの森の精霊さんに貢物って、有り得んだろ……


【そ……そうか……】


 なんか、リーフの鬼気迫る物言いに、カーランド王も焦りだす。

 ここでやっと、自分より、森の精霊さんの方が偉いと気付いたのかもしれない。


【それでは改て、精霊王殿、なんなりと貢物のリクエストを仰ってくださいませ。

 私に出来る範囲ならば、どのような貢物でも献上致しまする】


 うそ! 何でも貰えちゃうの!

 俺は有頂天。

 領地とか爵位とか、なんか貰えるかもとは思ってたけど、何でもとは思ってなかった。


 ヤッパリ金?金があれば、美味しものも、女だって買えちゃうのだ。

 だけれども、俺って、実を言うと金持ちなんだよね。職業商人やってた頃、ハイエルフに色んなもの売りつけて、1兆ゴル持ってるし。(日本で1兆円と同等)


 どうしよう……


 で、考えた結果がこんな感じ。


「セリカ姫とお友達になりたい。それから毎月、お小遣いとして100万ゴル欲しい!」


 セリカ姫とお友達になりたいのは本当。

 だって、セリカ姫って性格良いし。可愛いからね。そして、セリカ姫と友達になれば、この国でデカい顔出来そうだし。

 そして、お小遣い100万ゴルは、1兆ゴルの貯金を使いたいくないから。森の精霊さんは、老後の事も考えてるのだよ。


【そんな貢物で、宜しいので……】


 リーフが通訳すると、なんか、王様が驚いてる。

 まあ、しょうがない。俺って、中身がオッサンだから、拝金主義なのだ。

 月給100万って、メッチャ嬉しいし、しかも働かないで給料100万って、天国かよ!

(森の精霊さんの中身は、日本の底辺のオッサン。月給100万が、とんでもなく凄い給料だと思っている)


【精霊王様は、無欲なのです!】


 なんか、リーフがおかしな事を言っている。

 毎月、100万貰うのが無欲?

 何言ってんだか分からない。

 俺が、強欲な拝金主義だというのを、誤魔化してくれてるのか?

 まあ、無駄に俺を敬ってるから、俺の行動が何でも善性であると思い込んでるのかもしれない。


 森に慎ましく住まうハイエルフにとって、森の中央、聖なる泉に住む森の精霊さんは、とても聖なる存在なのであろう。

 例え、職業魔王をカンストしててもね。


【セリカよ?お前はどうしたい?】


 王様が、セリカ姫に確認する。

 まあ、こればっかりしは王様が決められないからね。俺も無理強いするつもりは無い。


【ハイ! 私でよろしければ】


 セリカ姫は、ハッキリと返事をした。


 やったね! これでついに、人間の女の子とお友達になれた。

 彼女居ない歴135年。ついに、俺にも春が来たのだ。

 まあ、イキナリ彼女になってとか言えないから、最初はお友達から始めようと思ったのだ。


 将来、勝手にセリカ姫と付き合うつもりでいるけど、俺って、男でも女でもないんだよね。付き合っても何も出来ないから、一生童貞決定だけど。

 まあ、そのかわり、付き合ったら、お触りしまくってやる。


 ナニがなくても、煩悩だけは男のままなのだ。


「俺、城に住みたいんだけど?」


 一応、ついでに我儘言っておく。

 宿代もバカにならないし、城に住めたら宿代タダ。それから、食事付きがいいな。


【精霊王様が、城に住みたいと仰せられております!】


 リーフが通訳してくれる。


【何と、精霊王殿が、そう仰られているのか?】


 なんか、王様が、心底動揺している。

 そんなに、俺が城に住むのが嫌だったの?

 まあ、城の中に、この国の王様より偉い存在が居たら、そりゃあ、王様としては嫌だよね。

 だけれども、俺は譲らないのだ。

 そして、伝家の宝刀。


「僕、悪い精霊じゃないよ」


【精霊様は、悪い精霊ではないと言ってます】


 クククククッ。これでイチコロだ。

 このセリフに、クラっとこない人間などいないのだ。


 しかしながら、俺のセリフに、寝所に集まっていた国の重鎮達や、王妃様、セリカ姫の弟妹も、全員固まってしまった。


 どうした?

 俺、変な事言ったか?

 ドラ○エ的には、正解だろ?


「お父様、それなら私の部屋に精霊様に住んで貰えたらと思います!」


 セリカ姫の問題発言。

 まさか、まだ、友達になったばかりなのに同棲だと!

 この国は、どんだけ進んでるんだよ!

 多分、性に寛容な国なのだろう。

 俺的には、とても嬉しいんだけど。


 それか、俺が悪い精霊じゃないよ!とか言ったのを、真に受けてしまったのか?

 俺の頭は、煩悩で溢れているというのに。


【しかし、精霊王殿が、セリカと同じ部屋で良い筈は……】


 なんか、王様が言葉を濁している。やはり、どうしても王様は、俺とセリカ姫との同棲を反対しているようだ。


「俺は、セリカ姫の部屋で問題ないぞ!

 俺って、見ての通り小さいからね!」


【精霊王様は、セリカ様の部屋で問題無いと仰られています!】


 リーフが、翻訳しくれる。

 絶対に、俺は、セリカ姫と同棲したいのである。


【そ……そうですか……それなら、精霊王殿、セリカのお部屋でお住み下さいませ】


 どうやら、王様も同棲を認めてくれたようだ。

 まあ、俺って、王様の命の恩人だもんね!

 渋々ぽかったが、リーフの圧が物凄かったので、王様もOKするしかなかったのだろう。


 結構、リーフって使える奴だ。

 そのうち、祝福してやってもいいかも。

 契約してる精霊がしょぼくて、ザオ○クじゃなくて、エリクル使えないとか言ってたしね。


 そんな感じで、俺は、念願の女の子との同棲を勝ち取る事が出来たのだ。


 ウッヒョー!!


 ーーー


 ここまで読んで下さり、ありがとうございます。


 森の精霊さんは、拝金主義だったようです。

 そして、セリカ姫とお友達になれました。しかも、同棲です。森の精霊さん、この世の春です。


 そりゃあ、ウッヒョーとも叫んじゃうよね!


 面白かったら、復活の呪文【フォロー】を押してくれると嬉しく思います。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る