2章 カーランド王国編

第13話 森の精霊さん、城に到着する

 

 取り敢えず、侍女と残りの兵士ともパーティーを組んで、レベル上げをしてやる。

 取り敢えず、魔法を使えるようにしてやればいいよね。


 コマンドを使う戦いって、結構、面倒臭いんだよね。ゲームでも、殆ど、ガンガン行こうぜ!しか使ってなかったのに。一人一人指示を出すのは、本当にしんどい。


 まあ、魔法が覚えられる、魔法剣士のオットンと、僧侶のセリカ姫、魔法使いのマリンとかいう侍女に、ドラ○エ魔法を1つだけ使えるようになるまでレベル上げしてやったから、俺の仕事はここまで。


 後は、勝手に、色々コマンドを使ってもらって覚えてもらうしかない。


 オットンの話によると、ハイエルフはドラ○エ魔法(精霊魔法)が使えて、尚且つ、ドラク○コマンドも見えるらしいから、良く考えたらハイエルフに日本語じゃなくて、古代エルフ語を教えて貰えば良いって話だし。


 カーランド王国にも、何人かハイエルフが居るらしいから、俺の仕事はここまで。

 ハイエルフが、カーランド王国に居るなら、最初から、そう言えっての。


 ここまで、コマンドを使うパーティープレイが大変だとは思わなかったし、ヤッパリ、ゲームと本当の実戦は違うという事が分かった。


 で、取り敢えず、馬車でカーランド王都に向かってるんだが、護衛でも無い侍女も外に出て、魔物にヘラ打ちまくってるし。


 ヘラは、ドラ○エで、魔法使いが最初に覚える呪文ね。


 そして、オットン以外の護衛騎士は、全員、職業 戦士で、覚えたてのスキルを使いまくっている。


 なんか、この世界のスキルは、ちょっと、ドラ○エ仕様ではなく、Lv.5で、挑発というスキルを覚えるのだけど、敵に挑発ばかりしまくって、おかしな事となっている。

 お前ら、挑発ばかりしてないで、攻撃しろよ!って、話。


 まあ、挑発で引き付けた魔物を、侍女のマリンがヘラで倒していくんだけど、そりゃあMPすぐ無くなるよね……


 その度に、馬車の中に居る俺の元にやってきて、鱗粉をオネダリするのだ。

 俺が、MP満タンになれと思いながら、鱗粉を振り掛けると、本当にMP満タンになっちゃうから。本当に、俺の鱗粉何でもあり。


 なんか、カーランド王都に着く頃には、侍女のマリンは、ヘラミまで覚えちゃったし、どんだけ戦闘狂だよって話。

 お前、セリカ姫の侍女じゃないのかよって話。セリカ姫も、怒れよって話。俺もヒップホッパーじゃないよって話。


 それから、オットンも、ヘラミとデラも覚えて、相当ウハウハ。土下座して、ありがとうございますと祈られちゃった。


 どうやら、この世界のエルフには、日本文化が相当浸透してる模様。まあ、今どき、日本人でも土下座なんてしないんだけど。


 それから、デラは、最初に覚える基本の広範囲殲滅魔法ね。

 決して、名古屋弁の最上級を表す言葉ではないよ。


 ん?そんな事より、四天王はって?


 知らん。


 勝手に、森で生活して行くでしょ。

 そもそも、俺、アイツらの保護者じゃないし。

 たまたま、職業魔王になった時、四天王を決めないといけないクエストがあったから、適当に決めただけだしね。


 アイツらも、俺が居ない方がノビノビ出来るでしょ。


 まあ、アラクネのシロだけは、俺に完全に心酔してるから着いてくるかもしれないけど。


 鳳凰のアオとか、昔から自由だし(自由に放火しまくってた)

 フェンリルの銀にとって、俺って、親の仇なんだよね。銀の親を殺して経験値にしちゃった訳だし。(まさかの親殺し)

 ベビモスのクロに至っては、普通の子猫と勘違いしてしまって、魔物にとっては猛毒である森の泉に無理矢理入れて、脱色しちゃったんだよね。(恨まれてても、本当に仕方が無い)


 取り敢えず、俺が、森から居なくなって、アイツらが嬉しい事は間違いないのである。


 まあ、アイツらと一緒に行動してしまったら、折角、始まりの街(森)から出て、楽しい冒険が始まるというのに、全てをすっ飛ばして、イキナリ魔王倒しに行くぞ!とかいう流れになっちゃうと思うし。


 というか、俺、魔王もカンストしてるから、俺自身を倒さなくてはならなくなってしまう。


 取り敢えず、俺は、もうドラ○エを卒業するのだ。

 普通の異世界転生を楽しみたいし。

 ハーレム勇者をやってみたいのだ。


 まあ、精霊になっちまって、男でも女でもなくなっちゃったんだけど、今でも女の子は大好きなので女の子とイチャイチャしたい。


 今も、普通にセリカ姫の肩に乗ってるけど、全く怒られないし、このまま胸元に入っても、絶対に怒られない自信がある。

 だって、俺って、すっごく可愛らしいしね!前世の小太りのオッサンではいのだよ!(性格は、完全にオッサン)


 俺は、美少女のセリカ姫と生きてくんだ!

 そして、もう少しセリカ姫が大きくなったら、胸元に入れてもらうんだ!

 今は、ペッタンコだから、下までずり落ちてしまいそうで無理だけど。


 そんな妄想してたら、カーランド王城に到着してたようだ。


 カーランド王都は、所謂、ナーロッパ。

 ドラ○エとファイ○ルファンタジーを、足して2で割った感じ。(決して、王都の説明が面倒臭かったのではない)


 俺は、今迄、ドラ○エ色が強過ぎる世界で行動してたので、少し新鮮。

 決して、人の家に勝手入って、タンスの中や、壺の中の物をパクっても警察に捕まらない世界でなくて安心した。(ドラ○エ勇者は大泥棒)


 そんな国って、本当に修羅の国だし。

 だって、世界を護る勇者様が、どこでも堂々と入って泥棒しちゃうんだよ。

 しかも、扉が開かない場所なんて、わざわざ合鍵まで作って泥棒行為する訳だし。


 まあ、カーランド王都をよく見てみたかったんだけど、肩から、ずっとセリカ姫の胸元を見てたから見逃した。

 時間が出来たら、しっかり観光してみても良いかもしれない。


 チラッと見ただけでも、人間以外にも、猫耳ギャルや、エルフとかたくさん居たし。

 俺のハーレムに入れてやってもいいかな。(もう、ハーレム作る気でいるDQN精霊)


 まあ、男子じゃないからエロい事出来ないけど。俺は可愛いい女の子を見れるだけでも嬉しいのだ。


 前世は、小太りのオッサンだったので、可愛い女の子を近くで見ようものなら、変質者と通報される可能性があったし。


「せいれい、ついた!」


 馬車が止まると、いきなりセリカ姫の侍女で、黒髪前髪パッツン女が、日本語?古代エルフ語?を話しだした。

 まさかこれだけの短期間、コマンド操作してるだけで、日本語覚えたのかよ!


 まあ、オットンと同じで、侍女も俺に対してタメ語なんだけど。


【スライムがあらわれた!】


 とかと、同じ感覚で話してるように思われる。そしたら、敬語を覚えろという方が無理か……

 まあ、この侍女は、セリカ姫の侍女だというのに、馬車の外でドラ○エ魔法を使いまくってたので、違う意味でヤル気があるのだろう。


 このヤバそうな侍女の話は置いといて、カーランド王城は戦時中だからか、やたらと城に兵士達が多い。

 なんか、兵士が城の中を走り回っているし。


【おい。ここだけの話、王様がお亡くなりになられたらしいぞ!】


 なんか、走り回ってる兵士から不穏な声が聞こえてくる。

 まあ、この世界の言葉が分からないから、コマンド越しなんだけど。


 そんな話が、セリカ姫やオットンにも聞こえたのか、2人の足が早くなる。


 そして、ズンズン王城を進んでいき、王様の寝所に到着する。


【姫様!と、エッ!?精霊王様……】


 なんか、ハイエルフっぽい奴が俺に気付いて、土下座してきた。


 ハイエルフは、みんなこんな感じ。

 俺を見ると土下座するのだ。

 森に居たハイエルフも、俺と話す時は、ずっと土下座だし。どんだけハイエルフは、俺の事を崇拝してんだよ。


【リーフ様、父の容態はどうなっていらっしゃるのですか?】


 セリカ姫が、少し焦りながらリーフとかいうハイエルフに質問する。


「はは~!王は昨晩お亡くなりになりました~」


 リーフは、何故か土下座したまま、俺に答える。


 というか、日本語じゃなくて、古代エルフ語が分からないセリカ姫は、困惑してるし。


 これは、俺が話さないとイカン奴だ。

 本当に、ハイエルフって、俺の事をメッチャ敬ってくるんだよな……

 最初、森で、ハイエルフの集落見つけた時、全員、殺して経験値にしてやろうかと思ってたけど、いきなり土下座してお祈りしてくるから、出来なくなっちゃったんだよね……


 多分、俺がこの場に居る時点で、このリーフとかいうハイエルフは、俺がこの城の中での一番重要人物になってる筈だし。

 俺が、セリカ姫の代わりに、話を聞くしかなさそうだ。


「おい、お前! お前って、森に住んでるハイエルフの一族だよな?」


 俺は、少しリーフに質問してみる。


「ハハ~!200年前に、森からカーランド王国にやって参りました~!」


「俺って、お前らにとって、どんな存在?」


「神を越える、神であらっしゃれまする!」


 なんか、リーフは、おかしな敬語を使って答える。


「なるほどね。そして、この国の王様が死んだって本当?」


「昨夜、お亡くなりになりました~!」


「お前が居たら、エリクルで生き返させればいいじゃん?」


「恐れ入りますが、エリクルは、精霊魔法の中でも最上級の魔法でございます。

 私のような上級精霊様としか契約してない者には、とてもじゃありませんが、使えない伝説の魔法でございます!」


 どうやら、リーフにはエリクル(ザオ○ク)が使えないようであった。


「だから、セリカ姫を森の泉に寄こしたのか?」


「藁をも掴む思いで……」


「お前、あの森出身なら分かるだろうが!

 あのメンツじゃ、とてもじゃないが、森の泉に辿り着けないと!」


 俺は、ちょっと怒れてきてしまう。


「仰る通りでございます! ですが、森の聖域を護ってらっしゃった龍達が忽然と消えましたので、今なら、森の泉に行く事が出来るかもしれないと思ったのです!」


 リーフが、大量に汗を流しながら答える。

 どうやら、俺が、凄く怒ってると思ったらしい。


「まあ、いいや! その死んだ王様の所に案内しやがれ! 俺が、治してやんよ!」


「ありがとうございます!」


 リーフは、土下座したまま、まるでゴキブリのようにシャカシャカしながら、王様が亡くなったベッドまで案内してくれた。


【お父様!】


 亡くなった父親を見て、セリカ姫が駆け寄る。

 ベッドの横には、セリカの母親である王妃様、セリカと顔が似てる妹ぽい子供、それから弟ぽい子供とかもいる。


 王妃は、セリカ姫が亡くなった王様の元に駆け寄って泣いてるのを見て、貰い泣きしている。もう、相当泣いていたのだろう。

 目が真っ赤に腫れてるし。


 下の妹、弟は、父親の死を理解してないのか、キョトンとしてるし。


【お父様! 私はやりました!森の泉に見事、到達して、精霊様に、森の泉を頂けたのです!】


 セリカ姫の言葉に、寝所に居た重鎮達がざわめき出す。

 まあ、俺がこの場に居る時点で気付くだろ?


 まあ、俺が見えるのは、寝所に居る半分ぐらいなんだけどね。

 一応、オットンに伝えとこう。

 俺が見えてない奴は、今後、気を付けた方が良いよって!

 こいつら、悪い心の持ち主だからって!


 俺は、オットンの耳元に近付いて、俺が見えてない悪い奴らを教えてやった。


 そして、セリカ姫がエリクサー(正確に言うと、俺の出汁)を取り出し、亡くなってしまっている王様に、自信満々に振り掛ける。


 効果は、自分やオットンで実証済み。

 そりゃあ、自信満々になるよね。


 そして……


 やはりと言うか、何も起こらなかった。

 多分、この王様って、完全な善人じゃなかったのだろう。

 セリカ姫の侍女のマリンも、泉の水飲んでも何も変わらなかったしね。


 まあ、マリンの場合は、ドラ○エ魔法が使えるようになって、魔法打ちまくってたから、セリカ姫も、マリンが泉の水が全く効果無かったことを失念してたのかもしれない。


 なんか、周りの大人達がざわめき出してるし。

 まあ、リーフってハイエルフが未だに土下座してるからかもしれんけど。


 しゃあない。俺がドラ○エ魔法で生き返らせてやんか!

 セリカ姫、悲愴な顔して可哀想だしね。

 俺は、女の子に優しい森の精霊さんなのである。


 俺は、亡くなった王様の元に近付く。

 俺が見える者達が、少し慌てたが、オットンとリーフが物凄い殺気を発したので、静観する事に決めたようだ。


 でもって、


「エリクル!」


 俺は、ドラ○エ魔法を唱えてやる。

 すると、王様は、パッチリ目を開け、何事でも無いように、スクッ!と、起き上がった。


 ーーー


 ここまで読んで下さり、ありがとうございます。


 セリカ姫、ヤバかったですね。王様、どうやら善人じゃなかったようです。

 まあ、溶けてなくならなかったので、悪人でもないようですけど。

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