第2話 ドラ〇エ仕様は、どうやら俺だけだったらしい

 

 ちから : 3

 すばやさ : 56

 たいりょく: 5

 かしこさ : 12

 うんのよさ : 4

 さいだいHP : 10

 さいだいMP : 15

 こうげき力 : 4

 しゅび力 : 8

 Ex : 0


 これが、俺の現在のステータス。超弱えー!!


 魔法無しで、どうやって、敵倒せっていうんだよ!

 しかも、武器も持ってねーし。俺は武闘家じゃねーんだぞ!か弱い、森の精霊さんだっての!


 というか、食料とかねーし。布の服しか持ち物ねーし。

 流石に、精霊でも、食い物食べないと死ぬだろ?せめて、水を確保しないと。


 てな訳で、森を探索すると、


 ありました。森の泉。結構、近くに。


 どうやら、俺は、最初から森の泉を縄張りにしてたらしい。そんな記憶全く無いけど。


 でもって、俺は手で水をすくって飲もうとする。


「ん?この顔は……メッチャ可愛らしいじゃん……これが、俺かよ……」


 俺は小太りの中年オッサンだった筈なのに、超絶美少女精霊さんになってたのだった。


 というか、美少女?顔が可愛らしいから女に見えたが、よく見ると男にも見える。

 下を見ると、ツルツル。というか何もない。

 ナニが無いというより、本当に、何もなくてツルツルなのだ。

 これじゃあ、オシッコできねーじゃん。


 精霊は、もしかしてオシッコしないのか?

 う~ん……分からん。

 まあ、この辺は、時間が解決してくれるだろう。


 胸は、少し膨らんでる気もするが、女とも言えないし、男とも言えない。もしかして、両性具有?まあ、何も無いから、多分、性別無いんだろうね。


 どうやら、森の精霊さんは、男女の区別がないようだった。


 まあ、不細工より、可愛い方が良いよね!

 髪はエメラルドグリーン。目はクリクリで、まつ毛が長い。そして、羽根は七色で光り輝き、胸は少しだけ膨らんでる。


 流石は、森の精霊さん。自分で見ても、物凄く愛らしく見えてしまう。俺が人間だったら愛玩ペットに欲しいぐらい。


 でもって、森には果実やらなんか結構生えてるから、それを取って食べてたら飢えないかも。


「そんな、つまんねー生活できるかよ!」


 俺は思わず叫んでしまう。

 スマホもテレビも何もない世界になど、娯楽に溢れた世界で生きていた日本人が、つまらな過ぎて生きれる筈がない。

 せっかく、ドラ〇エのような異世界に転生したのだから、レベル上げしたいのだ。


 ん?異世界まで来て、レベル上げ?


 ドラ〇エ =レベル上げ。

 レベル上げ=ドラ〇エという位だし。


 レベルを上げて、魔法覚えて、魔法ぶっぱなしたら、ストレス発散出来るでしょ!


 なので、俺は準備する。

 取り敢えず、魔法が使えなければ物理でスライムを倒せばいいのだ。

 力3しか無いだろって?

 そしたら、武器を使えばいいだろ?

 ん?武器なんか持ってないだろって?


 ノンノンノン。この世界は、ドラ〇エの世界のようであって、ドラ〇エの世界では無いのだ。


 無かったら拾えばいい。

 そう、その辺に落ちてる枝を。


 俺は、丁度良さそうな枝を拾い、ゴツゴツしてる岩を見つけて、その岩で枝をガリガリして研磨し、枝の先を鋭くしてやる。


「フフフフフ。これでスライムをぶっ刺してやる!」


 そうび欄を見てみると、しっかり、先が尖った枝を装備してるし。


 ん?


 俺は、ここである事を気付いてしまう。


 そう。この世界は、どうやらドラ〇エ仕様。

 コマンドを、操作して試しに、装備を外してみると、


 手の平から、忽然と、先が尖った枝が消えた。


 そして、どうぐ欄を見ると、先が尖った枝がちゃんとある。


 再び、装備をポチッと押すと、


 突然、先が尖った枝が、右手に握られている。


「インベントリ、来たー!!」


 まさかのインベントリ。

 これで、重い荷物を手で持つ必要がない。

 小さい、森の精霊さんじゃ、大きな荷物持てないので助かった。


 そうと分れば、今度は小石拾い。

 じゃんじゃん拾って、どうぐ欄に入れていく。

 不思議な事に、どうぐ欄に入れようと思ってれば、手に持った小石が勝手に消えて、どうぐ欄に入ってる感じ。


 必死に拾ってたら、途中で、小石が手の平から消えなくなる。


「何でだ?」


 俺は、コマンドをピコピコして、どうぐ欄を確認する。

 すると、


 小石99と記入されていた。


 もしかして、99個が上限?

 こんな所もドラ〇エ仕様かよ!


 まあ、99個、小石持ってれば十分なんだけど。

 それ以外の物を拾っても、普通にどうぐ欄に入るし。

 どうやら、何でも99個まではどうぐ欄に入れておける設定のようだ。


 小石を99個ゲットした俺は、早速、森を飛び回り、お目当てのスライムを探す。


「居た!」


 俺は、スライムに見つからないように、空から近ずいていく。


 すると、突然、


 トゥルゥルゥルゥルゥルゥルゥルゥルルゥゥ……!!


【スライムがあらわれた! まだスライムは気付いてない】


 ドラ〇エの効果音と共に、コマンドが、突然、開く。


 ビビった! というか、トゥルゥルゥルゥルゥルゥルゥルゥゥ……!!とかいう、スライム登場シーンの効果音で、普通、スライムに気付かれるだろ!


 なんか知らんが、どうやら、俺だけドラ〇エ仕様のようである。


 じゃなければ、このけたたましい効果音で、絶対にスライムに気付かれる筈だし。


 しかしながら、テンションは上がる。

 効果音って、ヤッパリ重要なんだなと思ったりする。


 そして、スライムが、まだ俺に気付いてないなら、やる事は1つ。

 先を尖らせた枝で、グサリと殺る?

 ノンノン。俺は、作戦、命大事になのだよ。

 復活の呪文があるか分からないしね。


 俺は、スライムの上空から、石をどうぐ欄から取り出して投擲する。


 しかしながら、石は在らぬ方向に飛んでしまい、全くスライムに当たらなかった。

 しかも、俺が空を飛んでるの、スライムに気付かれちゃったし……


 兎に角、俺は、じゃんじゃん石を投げるが、全く石はスライムに当たらない。

 まあ、スライムの攻撃も俺に全く届かないんだけど。


 でもって、俺は考える。


 どうぐ欄にある小石を、普通にコマンドから【つかう】をクリックすると、どうなるかと。


 小石は、欲しいと思えば、勝手に手の平に出てくるんだけど、しかしながら、コマンドを使って、ピコッと押せばどうなるんだ?


 俺は、試しに、どうぐ欄にある小石をピコッとして、【つかう】ボタンをピコッとする。


 すると、勝手に体が動き出し、いつの間にか握っていた小石が、スライム目掛けて命中した。


【森の精霊のこうげき。森の精霊は小石を投げた。スライムは1ポイントのダメージを受けた】


 コマンドが表示される。


「俺が狙って投げるより、コマンド使って投げる方が命中率上がるのかよ!」


 でも、なんか、コマンド使うと、相手ターンもしっかり待たないといけないようである。


【スライムのこうげき。森の精霊は、ヒラリと身をかわした】


 まあ、そうなるよね。

 スライムの攻撃が届く射程範囲から、完全に離れてるし。

 反対に俺の小石攻撃は、重力まで加算されて威力が増しちゃうのだ。


 1ポイントしか、ダメージ与えれないけど……。


 俺は、引き続き、コマンドを使ってスライムに向かって石を投げる。

 俺の投擲は全く当たらなので、コマンドを使うしかない。


【森の精霊のこうげき。森の精霊は小石を投げた。スライムは1ポイントのダメージを受けた】


 スライム、全然死なね……


 しかしながら、確実に、スライムにダメージを与えてるのは分かる。


 だって、コマンドにスライムのHPが表示されてるし。

 本当に、ドラ〇エ仕様、メッチャ便利。

 ドラ〇エ仕様じゃなければ、絶対にスライム倒すの諦めてるし。


 最初、スライムのHP12だったけど、現在は、2ポイント減って、HP10になってるし。


 スライムは、全く、ヘッチャラそうな顔をしてるけど、確実にHPを削ってる事が分かってれば、俺がヤル気を無くす事など決してないのだ。


 後、10回、石をスライムに投げるだけだし。


 とか、思ってたんだけど、それから13回も石を投げる事になった。

 どうやら、石がスライムに当たるのは確率らしい。

 多分、レベルが上がれば、石が当たる確率も上がるのだろう。


 コマンド使わないで、自分で投げても全く当たらないから、コマンドを使うのが間違いないのである。


 そんな感じで、スライムを探して、3匹倒した所で、


 ティッティテ~ン!


【森の精霊のレベルが、Lv.1から、Lv.2に上がりました!】


「ついに、来たーー!!」


 俺は絶叫し、早速、ステータスを確認する。


 ちから : 6

 すばやさ : 65

 たいりょく: 8

 かしこさ : 15

 うんのよさ : 5

 さいだいHP : 15

 さいだいMP : 20

 こうげき力 : 7

 しゅび力 : 10

 Ex : 95


 結構、上がってる。

 これは、俄然ヤル気になる。

 敵のHPやMPも、ずっと視認出来るから、精神的に楽だし。

 これで、敵がどれだけダメージ受けてるか全く分からなかったら、きっと俺はヤル気を無くしてしまっていた。


 だって、倒せるかどうか、ずっと分からなかったら怖いじゃん。

 俺、攻撃力無いんだし。敵のHPとMPが分かってたから戦えてたのだ。


 多分、ドラ〇エ仕様じゃなかったら、俺、スライムに2回攻撃した時点で、きっと諦めてたと思うし。


 それ程、敵のHPとMPが、戦闘中ずっと視認出来るのはチートなのである。


 という事で、引き続き、レベル上げ。

 そう、ドラ〇エの基本は、レベル上げに始まり、レベル上げに終わるのだ。

 ラスボス倒してからも、再び、レベル上げしちゃうくらいだし。


 そして、ガンガンレベルを上げていき、何度もラスボスを倒すのだ。

 最終的には、ラスボスを簡単に倒せるぐらいになるまでね。


 俺は、また、空中からスライムを探し、小石を投擲する。


 今度は、スライムに1回の攻撃で2ポイントのダメージを与えられるようになった。


 メッチャ嬉しい。これで、6回小石を当たれば、スライムを倒せちゃう計算になる。


 俺は、調子に乗ってガンガンスライムを倒していき、そして、


 テイッティッティ~ン!


【森の精霊は、Lv.3に上がりました!

 森の精霊は、ハイミを覚えました!】


「ついに、魔法来たーー!!」


 やっとこさ、魔法を覚える事ができた。


 しかし、ハイミって何? ホ〇ミじゃなくて?


 どうやらこの世界は、完全にはドラ〇エ仕様では無かったようである。


 ーーー


 ここまで読んで下さり、ありがとうございます。

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