便利過ぎるドラ〇エ仕様は、どうやら俺だけだったみたいです~森の精霊さんに転生した元オッサンは、異世界パフパフ道を極める

飼猫 タマ

1章 魔の森編

第1話 森の精霊さん

 

「ん?森?」


 鬱蒼と生い茂る木の葉っぱのせいで、辺りは薄暗い。

 少し湿気があり、葉っぱの隙間から所々に光が射し込んでいる。ちょと、幻想的な光景。


 で、何でここに居るんだ?

 なんか、フワフワしてるし。

 しかも、何か、耳の後ろの方で、羽音が五月蝿いし。

 森だから、虫が居るのか?


 俺は後ろを振り向く。

 そこには、七色の羽根?

 ていうか、俺の羽根?!

 何故か、背中に羽根が生えてるし!


「俺、虫になったのかよ!」


 俺は、思わず叫ぶ。

 まさかの異世界転生。しかも虫だと……

 有り得ん。異世界転生、思いっきり失敗してるじゃん……


 俺は慌てて、手足を見る。

 普通の手足だし。というか、真っ白で華奢だ。意味が分からん。


「うん。これは夢だな……」


 取り敢えず、頬っぺをつねってみる。


「痛ってーー!」


 というか、ずっと、半透明のゲームのようなステータス画面が見えてるんだけど……。

 夢じゃなければ、ヤッパリ異世界転生?


「というか、最初からステータス画面が見えてるって、どんなだよ!」


 ステータス画面オープン!とか、言いたかったのに。もしかして、ドラ〇エ仕様?


 どうやら、俺は、森の精霊さんらしい。

 名前の欄に、普通に書いてるし。

 これは、鑑定スキルとか、要らんな。

 多分、敵が現れたら、きっと、【スライムが現れた!】とか、コマンドが出てくるだろ。


 しかも、Lv.1で、HP10で、MP15、G0、EX0とか書かれてる。

 Gがお金で、EXが経験値だね。

 俺、ドラ〇エやってたから、メッチャ知ってるし。分かりやすくていいんだけど。


 ていうか、本当に異世界転生?

 MMORPGじゃなくて、普通のRPG?ファ〇コン仕様?

 俺が、オッサンだからって、舐めてんのか!


 アッ、でも、タッチパネル式なのね。

 ファミ〇ンのコントローラーが出て来なくて良かった。


 まあ、夢でも、異世界転生でもどうでもいいや。

 取り敢えず、この世界を、命大事で楽しもう!


 もし本当に異世界転生だとしても、命大事でプレイしてたら問題ないしね!


 けっして、ガンガン行こうぜ!ではプレイしないよ。だって、ほっぺつねったら痛かったしね!


 で、どうすればいいんだろう?ドラ〇エ仕様なら、レベルを上げればいいか!

 この世界がドラ〇エ仕様なら、レベル上げてればなんとかなる筈だしね。

 ドラ〇エって、基本、レベル上げゲームだもんね。


 俺は、コマンドをピコピコする。


 どうやら俺は、布の服を装備してるみたいだ。それ以外は何も装備してない。

 まあ、森の精霊さんだから、そんなもんか。

 戦闘職じゃないし、武器を持ってないのは当然だよね。


「クックッククッ。森の精霊さんだから、どう考えも魔法職でしょ!

 きっと、凄い異世界転生特典の魔法が使えるんだよね!」


 俺は、気を取り直して、コマンドに書いてある、じゅもんをクリックする。


「ん?」


 俺は、首を捻る。


「何で?」


 そう、じゅもん欄をクリックしても、魔法が何も無いのである。


 もしかして、Lv.1だから?

 まだ、魔法、何も覚えてないのか?


 これって、もしかして詰んでる……

 森の精霊さん。どう考えても腕力無いよね……


 俺は、急いで、コマンドをピコピコする。


 力が3だと……


 俺、どうやって、スライム倒せばいいんだよ……絶対に、パーティー組んで、姫プレイしないとレベル上げれねーじゃねーかよ。


 本当に、どうしろってんだよ……


 完全に、俺は、この森最弱。

 魔法も使えないし、腕力も無い。

 しかも、持ってる道具は、今着てる布の服だけ。


「夢であってくれーー!!」


 俺は、おもいっきし、頬をグーパンする。


「やっぱ、痛てーし!昔のRPG仕様なら、リセットボタンねーのかよ! 勇者に、職業替えさせやがれ!

 せめて、失敗してもやり直せるように、復活の呪文だけでも、神様、女神様お願いします!」


【森の精霊が神に祈っても、何も起こらなかった】


 なんか、目の前に、半透明のコマンド出た。


「そんな説明、要らねーよ!」


 こんな感じで、何故か、ドラ〇エ仕様で、超ハードモード。森の精霊さんの異世界生活が始まったのだ。


 ーーー


 ここまで読んでくれてありがとうございます。

 続けて、2話目も読んでくれたら嬉しいです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る