第8話 ゲーム

 今まで短期のバイトを繰り返していたが、どれも自分に合った仕事内容ではなかった。

 

国立大学出身のプライドが「俺はこんな仕事をする為にこの会社に入ったんじゃない」と邪魔をする。


子供の頃から人間関係も得意ではない。


仕事に行くのも億劫になり、いつしか引きこもりと呼ばれるようになった。

 

 アニメやゲームに没頭し、現実社会に興味が無くなってから何年経過したのだろう、いつの間にか2人の妹が社会人になっていた。

 

 このまま異世界に転生できないか?そんな現実逃避の妄想をしていた時に、あの「求人情報」を見たのだ。


 預金口座から金を引き出し、行きつけのゲームセンターに向かう。

いつものカーレースで遊んでいたが、四戦目あたりでとなりのシートに中学生くらいの少年が座り、ゲームを始めた。

  

   ===You Win===

ゲーム画面が切り替わる


「ねぇおじさん、僕とバトルしない?」

いきなり隣りの少年が話しかけてきた。


「おじさんじゃなくて、お兄さんと言ってくれないか?相手に失礼だろ」

「やるの?やらないの?」


ガキが!

平日の昼間にゲーセンで遊ぶ中学生なんぞに馬鹿にされたくないね。

「いいけど、ハンデは無しだぞ!」


「決まりだ。」

    ===Set===


「レディgo」

   

   

    ===You Rose===

 勝負は俺の負けだ。三戦して惨敗する。

「おまえ中学生だろ?学校は行かないのか?」


「うるさい大人みたいなこと言わないでよ。おじさん明日もバトろうよ」

うるさい大人か・・・


「おい!名前は?」

「しょう。Syoだよ、おじさん。じゃ!明日」

そう言ってゲームセンターを出ていく少年。


 まさかね、ランキング画面のトップにSyoの文字を見つけた。

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