第6話 給料日
あれから、入社式の呼出しもリモート会議のメールも来ない。
本当に毎日が休日だ。
突然の呼出しのために、最低限のマナー(身だしなみ)を整えようと
毎日風呂に入り、散髪屋に行き、毎朝髭を剃る
だが出勤はしない。
身ぎれいになった息子を喜び、機嫌がいい母親は三度の食事を作るようになった。
生活サイクルは今まで通り。
趣味のオンラインゲーム、たまに外出する時はコンビニ、ゲームセンター
何も変わらないまま月が替わり、○月1日。
会社からのメールに、給与明細が添付されている。
銀行のATⅯで記帳すると、待望の給与が振り込まれていた。
「給料日が1日・・社長が犬なだけに・・『ワン』てか?」
通帳を眺めながら、ひとりごとを言う。
「・・・・ふ・・ははh・・・・これはいい!最高だ。生きてるだけで金がもらえる俺は勝ち組だ!ざまあ」
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ピピピピピイピピピピ
「個体ナンバー035 ファーストステージ クリア」
「セカンドステージに突入します」
「了解しました」
「セカンドステージ キャスト放流」
「6分後にキャスト放流開始」
犬社長室
巨大なモニター画面を見つめるグレーハウンド。
「彼もまた、闇の世界に墜ちていくのか・・・・」
黒ヒョウの秘書が珈琲を持ってくる。
「人間の欲深さのせいです、社長。私たちが人間の選別を請け負うことになったのも」
ファンファンファンキュルルルルキュル
「エマージェンシー ファイナルステージで消息不明発生」
「個体ナンバーを確認します」
「個体ナンバー009 ファイナルステージで何者かに消滅させられたもよう」
「了解しました」
「009の情報をすべて削除します」
「削除完了」
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