第3話 面接試験

 ハローワークでコピーしてもらった地図を見ながら、面接場所へ来た。

だが、見渡す限りの草むらだ。建物らしきものは何も無い。


どういうことだ、自分はだまされたのか?


そよそよと風に揺れる草をアホみたいに眺めながら、いったい自分は何しにここへ来たのか自問自答する。


 スマホで時間を確認する。

ちょうど9時になったところだった。


騙されたのだろう、時間の無駄だ。帰ろう。来た方向へ体の向きを変えた。

すると突然後ろから

「わん!」


犬の鳴き声が聞こえた。

振り向くと、スーツ姿のグレーハウンドがこちらを向いて立っていた。


「株式会社 人間へ ようこそ」

犬人間が喋ったその瞬間、一面草むらだったのが大きなオフィスビルに変わった。

「‼??????」


ガラス張りの自動ドアは首が痛くなるほどの高さだ。

入り口にはタッチパネルのゲートがあり、グレーハウンドが社員証をかざすと自動ドアが開いた。


ビルの中は思った通りの近代建築で出来ている。

入り口からまっすぐ伸びた通路の左側に受付カウンターがある。


カウンター内の受付レディはウサギだ。しかも3人。

グレーハウンドがカウンターに近づくと立ち上がり、深々と頭を下げた。


「これから面接をするんだが、いてるオフィスはあるかい?」

グレーハウンドは軽く両手をカウンターに乗せると、ウサギレディに優しく聞いた。


「しょ・・少々お待ちください。お調べ致します」

カチカチ

PCのキーボードを打つ音がする


「お待たせ致しました、3階の中会議室が空いております」

「ありがとう」


グレーハウンドの後をついて行くとき、ウサギレディたちが黄色い声で話す内容が聞こえた。


「どうしよう、CEOと目が合っちゃった!」

「今日も一段と爽やかよ」

「私、変な顔してなかったかな?」


グレーハウンドが社長なのか・・・

モテるんだな。いいなぁ。




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