第14.5話 【配信】ゲームの件に関して謝罪と訂正

「あ~あ~マイク入ってる?」


:入ってるよ

:サムネどうした?

:聞こえる

:ゲームなんかあった?


「入ってる?よかった~。ちょっと諸々あって、今日話そうと思って。」


 そう答えた彼女の声色は少し悲哀に満ちていた。


:なんだなんだ

:嫌な予感

:俺、このゲームが出たら結婚するんだ

:あのグラのゲーム作ってんだから、逆にバグってもおかしくない


「それじゃあ言うね。今回配信したのは伝えたいことがあってなの。みんなの予想通り、開発中のゲームに関してこちらで不手際があって、無期限延期とさせてもらいます。楽しみにしていた方、本当にごめんなさい。」


:無期限!?

:マジかよ

:実質サ終?

:生きる希望が…


「ホンっとうにごめん!あまり詳しい事情は言えないんだけど、どうなるか分からないからとりあえず延期にします。対応は頑張ってするから一応待ってくれると嬉しい。」


:元の予定より遅くなるなら少なくとも3年くらいか?

:生きる時間が逆に増えたか

:俺、このゲームが出なかったら結婚するんだ

:なら今、俺と結婚しろ


「本当にごめんね。代わりになるか分かんないけど、今日はみんなからのマシュマロン見ていくね。」



△▼△▼△▼



「今日はありがとう。ゲームの件は本当にごめんね。じゃあ、おつかみ~。」

て少しばかり雑談した後、私は配信を閉じる。


 みんなはコメントで延期の理由について色々な予想を立てていた。

 私のゲームが、どこかの圧力によってもみ消されたとか、致命的なバグが見つかったとか。


 申し訳ないが、私自身も原因がよくわかっていないのだ。


 そう思いながら、私は冷蔵庫のビールを一缶取り出す。

 Vtuberでは高校生設定だが、本当の私は立派なアラサー。

 大人には酔わなきゃやってられない日だってある。


「それにしてもなんで…


 神世文加は缶ビールを一口飲んで愚痴をこぼしかける。


いや、こんなこと言っても仕方ないか。早く原因を解明しないと。」


 静まりかえった部屋。女が一人。

 キーボードの音だけが鳴り続けている。

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