第4話 新キャラはインパクトが大事だと聞いた

 ピンポーン


 石化が解けた後、飢えと渇きを癒し、倒れるように寝込んでしまった。

 その翌日。

 私はインターホンの音で目が覚める。


 {なんなんじゃ?今の音は。おかげで起きてしまったのじゃ。}


 感覚を共有しているためか、同じタイミングで目が覚めた魔王がそう愚痴をこぼす。

 魔王にインターホンの説明をし、来訪者のことを考える。

 多分、あの子がやって来たのだろう。


 そして、私はスマホの自撮り機能を使い、頭の確認。


 「やっぱりまだあるか~。この角はどう説明しようかな…」


 すると、チャイムの音がもう一度響き渡る。


 ピンポーン


 {誰か来たのであれば、早く出てはどうじゃ?}


 う~ん。確かにこのままだと埒が明かないし、角を隠すのも無理があるのは分かるんだけどね。

 そんな優柔不断さを発揮していると、遂に来訪者の本性が露になる。


 ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピ  ンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン


 {ぎゃああああ~~~!!!!!なんなんじゃ~~!!!!}


 怒涛のピンポンラッシュに寒気がし、急いで玄関までダッシュ。

 その勢いのまま、ドアノブに手をかける。


 ガチャ


 「よかった~。灯ちゃん無事だった~。もう、連絡一つよこさないから心配しちゃったじゃない!」


 「あ、あはははは。いや~昨日はちょっと色々あって…」


 ドアの向こうにいたロング茶髪の女の子は、友人の千春。

 同じ大学の学科でよく面倒を見てもらってる立場なのだけど…


 「そっか!いつも何だかんだ遅くても大学に来る灯ちゃんが昨日は来ないから、不安で迎えに来ちゃったよ~。」


 そう笑顔でここまで来た経緯を話す彼女の右手には、スタンガンが握られていた。

 これは何に使うつもりなんですかね…すごく怖いんですけど。


 そうこうしていると、スタンガン女が口を開いた。


 「灯ちゃん、その頭…


 やべ、角の説明考えてなかった!

 理解してもらえるかわからないけど、事の経緯を説明するか?


 フフッ。寝癖すごいよ、ボサボサ~。」


 あれ?いや、確かに寝起きで直してなかったけど…


 「もうちょっとで講義始まっちゃうよ!女の子がそれじゃダメ。早く直して直して。」


 「え?ああ、うん。」


 そう言われ、慣れない角を避けながら寝癖を直し、支度を済ませて千春と共に大学に向かう。

 支度中、スマホを覗いたら、未読メッセージが999件だった。

 千春さん怖いです…


 家の鍵を閉めた後、通学中に先程の違和感について話を聞く。


 「千春。本当に何も思わないの?」


 「うん?何のこと?」


 「ええと、例えば私の頭のこととか。」


 「ウフフ。寝癖すごかったもんね~。大丈夫!ちゃんと綺麗な髪に戻ってるよ。」


 やはり彼女には角のことは見えていないらしい。

 そうなると、今の容姿でも問題なく日常生活を送れそうだ。


 だがそうなると、ほかの魔物も来ているらしいが容姿で見分けられないだろう。

 全員魔王みたいに人間嫌いっぽいし、絶対会いたくないな~。


 {本当に忌々しいやつじゃな。我の姿すら捉えられない脆弱な人間め。お前には嫌なあだ名をつけてやる!う~~~む、そうじゃ!こいつはピンポン女じゃ!}


 当の魔王は、千春にあだ名をつけて遊んでいた。

 これが本当に異世界を滅ぼしかけた魔王なのか?

 やってることが、ガキ大将と同レべじゃん。


 けど、このガキみたいに他の魔物も出てこれないだろうから、うっかり魔王の部下に出くわす心配はいらないか~。

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