第22話2人の絆のシュート

さて、泉ちゃん、私が考えた作戦を伝えるね。

まず、前半5分は、私と紗理奈ちゃんは、シュート打てない。


だから、私が仁美ちゃんをマークするから、前半体力温存した泉ちゃんは、紗理奈ちゃんを徹底マーク。


無理にボールを取ろうとしないで、紗理奈ちゃんのパスを封じて欲しい。そうすれば点は取られない。



分かりました! それで後半はどうすれば?


後半向こうは、紗理奈ちゃんを使って来るしかない。だから、紗理奈ちゃんをダブルチームでプレッシャーをかける。


スリーポイントを出来るぎり、打たせないようにする。



前半紗理奈ちゃんを温存して来るかもしれない。そうなったら、点差はそのままだろうから、後半5、スリーさえ防げば追いつけないと思う。


「さすがです! 紬ちゃん天才〜。大好き。」


「ありがとう。素直に喜んどく。」 


疲れからか、私は真面目に返事をした。

ちょっと煽過ぎな気もしたけれど、悪い受け取り方はしなかった。


泉ちゃんは、本気で思って褒めてくれたのだろう。


しかし…私の作戦多分、仁美ちゃんには、読まれてそう。


もしそうだとしても、臨機応変に対応する。問題はない!


スポーツドリンクを飲みながら、バスケのコートを見る。


汗が出てきた。タオルで拭おうとしたら、泉ちゃんが私の汗を拭う。


「至れり尽くせりね。」


私は笑顔で言う。


「えへ。当然です。これぐらいさせて下さい。」


青いタオルの肌触りが気持ちいい。

…さて、リフレッシュ出来たところで、始めますか。


私と泉ちゃんがバスケコートに戻る。


仁美ちゃんと紗理奈ちゃんがにこやかに、私たちの前に立つ。


「さて試合再開だね。じゃあボールあげるよー。」


泉ちゃんと、仁美ちゃん2人が頷き対決の幕が上がる。前回は泉ちゃんが勝った。身体能力は、運動音痴と言っていたけど、高い。泉ちゃんの身長が高いのもあるけど。


普段運動してないだけで、元々の能力は高いのだろう。


紗理奈ちゃんが空高くボールを投げる。


2人がジャンプ、飛んだタイミングは、どちらもバッチリだ。


泉ちゃんがボールに手を先に触れ、私はそのボールを、しっかりと掴む。


硬いボールの感触を一瞬味わいながら、すぐさまドリブルに入った。


ドンドンとボールがコートの地面にぶつかる音が、集中力を研ぎ澄ます。静かだけれど、緊張感のある音色に聴こえてくる。



仁美ちゃんが私をマークする。私はそれをロールターンで抜く。


ロールターンとは、相手ディフェンダーを背にして、身体を反転させ、回転させるテクニック。


仁美ちゃんを左手で押さえ込み、抜いた!


私は、身体の疲れを感じさせず、むしろ背中に羽が生えたかの様に突き進む。


気分の問題だろう…それでも疲れより、楽しさが上回った。紗理奈ちゃんが向かってくる。


私は、レッグスルー。紗理奈ちゃんの股にボールを通す。見事に抜き去った。


やった! 初めて抜いた。だがすぐに追いつかれそうになった。


「泉ちゃん! 頼んだ!」


私は完璧なパスで、泉ちゃんにボールを渡す。


泉ちゃんは、ゴール付近にいた。ドリブルをする事なく、シュート体制に入った。


「いっけぇー!」


泉ちゃんがシュートを放った…ネットにボールが突き刺さった。上手い…いや、美しいシュート体制。泉ちゃんも完璧なシュートだ。


「イェーイ!」


2人でハイタッチを交わす。泉ちゃんがすぐにハグしてきた。


「まだ油断禁物だよ? さっ守備に戻ろう。」


そう言って私達は、センターサークルの位置に戻った。

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