紬ちゃんの青春日記

第13話優先順位と衝突

明の視点

「泉今日は俺と一緒に帰ろう。」

俺は恥ずかしくて、鼻を指すっていった。

今日は泉と仲良くイチャイチャしたい。普段の俺はクールな男で通ってるけど、根っこの部分は、甘えん坊なんだ。

それを泉が教えてくれた。甘える事を許してくれるほどに彼女は、優しかった。

「ごめん、今日は紬ちゃんと一緒に帰る。」　　　

…聞き間違えかと思った。よく見ると、2人で腕を組んでいた。視線を感じたのか、紬が絡んでいた腕を離す様に腕を上げた。

「なんで？　俺泉の彼氏だよね？　おかしくね？」

少し怒りに近い感情を彼女にぶつけた。

頭を抱えて、質問を繰り返した。

「おかしくないよ。友達優先だもん。」

唇を尖らせ頬を膨らませて彼女が言う。

「違うよ。そうじゃなくて、彼氏が一緒に帰ろってなったらさ、普通は、友達より優先するでしょ？」

普通その言葉に力を込めた。

「それは明君の意見だよね？　そんなの誰が決めたの！　私知らない！」

目を合わせず、泉は、完全にご機嫌斜めになっている。

何故？　俺の意見の何が悪いのか…女子ってそんなもん？

「…あのな、泉は俺のこと1番に考えてくれよ！　俺は泉を1番優先してるんだから。」

手を胸に当てて、必死に訴えた。晴れているのに、雨が降っているのかと、錯覚するほど、俺の心は乱れた。

「無理。私は紬ちゃんを1番優先したいもん。」

即答された。冷淡過ぎないか…寂しいよ、俺は。

「いやおかしいだろ。さっきも言ったけど、友達より彼氏優先だろ？　普通は。」

教えてくれよ。泉と不仲にはなりたくない。けど、胸が熱くなって、彼女を責める言葉が止まらない。

「まぁまぁ、2人とも、泉ちゃん私荷物取ってくるから、2人で帰りな。」

なだめる様に、紬がそう言って俺達の前から去った。

「分かった。今日の所は、明君優先するよ。」

ちょっと言い方が癇に障った。なんだよ、紬が言ったら…分かったって。

「いや、俺が言っても、言うこと聞かないで、紬が言ったら素直に言うこと聞くの？　ふざけるなよ。」

完全に俺は怒りに呑まれた。

「ふふ、ごめんね。明君私の事好きだもんね？　今度お詫びにデートしよ？」

泉が微笑んで、俺の頬を両手で丸めこむように、包んだ。

「誤魔化されないぞ？　紬より俺優先しろよ。そこは譲れない。」

怒りが沈んでいくのがわかる。くっそ…こんなので…でも譲れない所は、主張した。

「その話はまた今度しよ？　折角一緒に帰るんだからさ、楽しく帰ろ？」

彼女が手を握って、優しく天使の様に微笑を浮かべる。

可愛すぎだろ。その笑顔は、反則だ。何も言えなくなる。

「分かったよ。俺もちょっと、言いすぎた。悪い。」

彼女を見つめて言った後、照れ臭くなり宙を見上げる。

「ありがと。うーん、明君は〜やきもち焼きさんなんだね？」

彼女の甘い声が俺の耳にスッと入ってくる。

まるで、セイレーンが歌声で人を惑わす様に俺の心は、魅惑された。

「泉の友達にやきもち妬くなんて変だよな。ごめん、それだけ泉のことがす…好きなんだ。」

身体中が暑い。それでも、真剣に彼女に伝えた。

「分かってる。」

泉が俺の手を両手で包む。柔らかい感触と体温が彼女を愛おしく思わせた。

泉の視点

後日私は紬ちゃんにLINで相談した。

って事があったの。

「ふーん。それはどっちかが、優先順位合わせないとね。価値観の違いでいざこざなってるから。」

「関係続けていきたいなら、私としては、彼氏優先すべきだと思う。」

「私のことよりね。」

「まぁ焦らず、2人で話し合って、感情的にならず、お互い譲り合いの精神で。」

「でもね泉ちゃんが少し大人になって、明君を手で転がしあげなよ。」

「話し合っても無駄だと思う。」

「泉ちゃん、そんな事ないよ。」

「言わせてもらうけど、明君は、泉ちゃんが好きだから優先して欲しいんだよ。」

「当たり前のことを言ってるんだから、それに対して、話しても無駄って相手を信じないのは、良くない。」

「泉ちゃんも彼氏を大切に、思って信じて話し合うべき。それで駄目だったら、また色々考えればいいから。」

はぁー。駄目紬ちゃん好き。あなたの言う通りにします。

紬ちゃん、やっぱり私あなたのこと愛してます。

送信しようとしたけれど、消した。私は今明君と付き合ってるんだ。それを送るのは、不適切だよね？

でも送りたい…考えながら30分が経っていた。

送ったところで、うん、知ってる。そんな反応で返すんだ、紬ちゃんは。なら良くない？　

そう思って更に30分が経った。

…結局…相談乗ってくれてありがとう。お礼の送信をした。

うん、1時間経ってベストな選択ね。