第2話 超青春

7月2日


 おい待て、なんで4月から7月になったって?それは2ヶ月特に何っもなかったからだ!テストも平均点。友達はできない!毎日毎日ベースの練習をするだけの日々、そんなのつまらないからな!...


 自分で言っていて悲しくなってくる...


 ちなみに原咲さんが軽音部(同好会)を作ってから軽音部の部員はなんと

1人=1人に!...これは人が集まらなかったからではない、人が集まりすぎてしまったからなのだ。


 原咲さんは入部テストを行っていてそれがとても厳しいのだと、ちなみに今でも入部しようとしている奴はいるらしい。

 よく見るとみんな左手の指先にタコができている、これはギターやベースをとても練習しているのだろう。

それだけ練習しても入部できないもんだからたまったもんじゃない。


 僕は入部テストを受けないのかって?噂に聞いたところ、入部テストは原咲さんと1対1でやるらしいのだ、ぼくは緊張でまともに演奏できないだろう...

 

 関係のない話だが原咲さんが軽音部を作ってから2日で近くの楽器店のギター、ベース、がすべて売れたらしい...恐ろしき学校1の美女!


 キン!コン!カン!コン!


 チャイムがなった。それを聞いてさっきまでグループで話し合っていた人たちが蜘蛛の子のように散っていく。


 今日も憂鬱な1日が始まる。


 ♢


 「さようなら〜」


 やっっっっと1日が終わった!今日は火曜日だ!

 

 僕が喜んでいるのには理由がある。それは”ベースの練習”があるからだ!

そんなのいつもやっているだろうと思うかもしれないが、僕には友達も家族もいない。家族は死んだわけではない、今は訳あって一人暮らしをしているのだ。だから会話の相手がべースしかいないのだ。


 練習はいつも楽器屋のスタジオでやっている。

家はアパートなので練習をすると近所迷惑になってしまう、スタジオは中1から使っているので完全に常連さんだ。


 なので店に入ると...


 「こんにちは樹下くん、今日は3番のスタジオが空いているから使ってね」


 「ありがとうございます」


 こんな感じで顔パスで入れる、すごいだろ!...というわけで練習をしよう。


 まずは基礎練を30分したあとに曲に入る。基本的に作曲などはしないで、すでにある曲をコピーしている。


 「つーわけで、やりますか」


 楽しい楽しい練習が始まった。


 ♢  〜2時間後〜


 「ありがとうございました」


 「おぉ、樹下くんお疲れ、」


 お金はいつも月末にまとめて払っている。高校に入ってから一人暮らしだったのでスタジオを借りるお金がなく、親からの仕送りも月々ギリ生活できるレベルなのでバイト代が出てからスタジオ代を払ってもいいか聞いたら


「樹下くんは常連さんだからツケ払いでいいよ」


 と言ってくれたのだ。嬉しい、この店に一生通うと決意した瞬間だったのだ。


 そんなわけで思い出に浸りながら店から出ようとしたら、後ろから肩をトントンとたたかれたのだ。


 「あのぉ〜樹下くんだよね?」


 この声はどこかで聞いたことがある。

 その声の正体は学校1の美女、原咲さんであった。






 「もしよかったら、付き合ってくれない?」


 僕の灰春せいしゅん超青春せいしゅんに昇格した瞬間だった。






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