第7話「自分、魔王様とお話いいですか!?」
最近、誰かに見られている気がする。冒険に行く時や、林檎を買いに街を歩いている時・・・そんな気配がするのだ。怖いなぁ〜怖いなぁ〜って思ってたそんなある日、超美形の青年が声をかけてきた。
「ねぇ、ちょっと。そこのお姉さん。少しだけお話いいかな?」
青年はちょいちょいっと手招きをして路地裏に誘っている。これはナンパですか?それともそういうやべーやつですか?まぁ、レベルもそこそこあるしなんとかなるだろとついて行った。でもなんか引っかかるんだよなぁ・・・何かこの青年、どっかで見たことあるというかなんというかぁ・・・路地裏に着いてから俺はようやく気がついた。気が付いてしまった。このお方が一体誰なのかを。
「あの〜、すみません。もしかしてなんですけどぉ〜、ま、魔王様・・・やってたり、しません?」
青年は振り返り満面の笑みを浮かべると頷いた。
「うん、そうだよ。よく分かったね、というか覚えてたね。モンスター達には1度しか顔見せてないのに」
マジだった。いや、マジか。困ったなぁ、困るなぁ、超困る。いや、本当にマジで。てか、なんで魔王がこんなとこにいんの!?ここ人間の街!魔王城じゃないよ!?なんで出歩いてんの!?
「いやぁ、人間観察してたら馴染んじゃってね。今ではここで生活してるんだ〜」
してるんだ〜じゃないよ!してちゃダメでしょ!魔王は玉座でふんぞり返ってないとダメでしょ!?
「ところでさ、君、なんでそんなことになってるの?スライムボーンなんてモンスター初めて見たよ」
「いや、分かんないっす。思い当たる節と言えば、スキルで合体取ってたからこんなんなってたというか、なんというか」
「へぇ〜面白いね!ということはさ!僕が知らないだけで君みたいな個体が沢山いたりするのかな!?」
「いやぁ、それはどうっすかね・・・自分以外で見たことないんで・・・」
「そっかぁ、それは残念だなぁ。まぁ、いっか!そのうち見れるかもだし」
「ところで魔王様。こんなところにいていいんですか?ほら、勇者とかと戦うっていう仕事があったりーーー」
「いや、ないよ。僕何も悪いことしてないし、勇者が襲ってくる理由ないし。というかそもそも勇者死んでるし」
「え、勇者死んだんすか!?」
「死んでるよ〜、あっ、僕は殺してないからね?道半ば?志半ば?で死んだっぽいよ。ま、あくまでも風の噂だけどね〜」
「新たな勇者待ちってことですか?」
「まぁ、そんな感じかなぁ・・・勇者と戯れたかったけど人間は簡単に死ぬもんだからねぇどうしようもないよねこれに関しては。」
人間って本当に弱い生き物だなぁとつくづく思った。
「んじゃ、僕はそろそろ行こうかな。また機会があったら話そうよ、林檎好きなモンスターさん」
「あ、はい。ははは・・・」
俺の事見てたのこの方だったのか・・・魔王様は手を振りながら人の群れの中へと姿を消した。
「寿命かぁ・・・考えたこともなかったなぁ・・・」
いや、勇者が寿命で死んだかどうかは知らんけれども。あ、てか、そんなことよりもガロウから買い出し頼まれてるんだった!まずいまずい!もうこんな時間だ!あいつすーぐ文句垂れるからなぁ・・・。夕暮れを背に俺は家へと走り出した。けど、手ぶらなのに気付いて目的の物を買ってから家へと帰った。もちろん文句は言われた。
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