第6話「自分、裏切り者認定されました」

荒野ダンジョンに向かった俺達はレベルも相まってスルスルと下っていた。今回の依頼は、キングオオトカゲの討伐。これでしばらくは飯に困らねぇって感じらしい。


「キングオオトカゲ・・・一体どんな味がするんだ・・・」


ヨダレが垂れる。口の中がもう大変なことになってる。食うのは街に帰ってからなんだが、もう待ちきれねぇぜ。そうしてようやく最下層へと到着。すると、地面が揺れるほどの大きな音がこちらに近付いて来ていた。


「お、ようやくお出ましか?」


どうやらその通りだったようだ。めちゃくちゃ大きいオオトカゲが目を血走らせてこちらを睨みつけていた。


「この裏切り者め!」


「ん?」


辺りを見回しその裏切り者とやらを探す。


「貴様だ!貴様!スライムボーンとかいう謎のモンスター!人間の味方なんぞしよって!!」


「勘違いするな、一緒に行動してるのは利害の一致ってやつだ」


「知ったことか!貴様はこの俺が今ここでーーー」


「えい」


ガロウがキングオオトカゲの言葉を遮って斬りかかった。


「この非常識者めが!!話してる時に攻撃を仕掛けて来るなんて!化け物が!」


「化け物はお前だよ」


「ギャー!!」


無事、キングオオトカゲは討伐されました。やったぜ、これで食える。


「なぁ」


「ん?」


「あんま気にすんなよ、裏切りもんがどうとかって」


「別に気にしてねぇよ、てか、お前が1番気にしてるじゃねぇか」


「それは・・・」


ガロウは少しバツが悪そうに言い淀んだ。最終的には利害の一致とは言え、最初は確かに強制だったからだろう。でも、モンスターだって共食いや殺し合いが無いわけじゃない。今更裏切り者と言われたところで何も響きはしない。それに、モンスターに喋るほどの知能があるやつの方が少ない。そうそう言われる機会なんてない。


「気にすんなよガロウ。とにかくこれで任務達成、さっさと帰ってこいつ食おうぜ」


「おう、それもそうだな。さっさと飯にしよう!」


ガロウは何かを振り払うように頭を振り、キングオオトカゲを引っ張り始めた。


「手伝ってやるよ」


俺もキングオオトカゲを引っ張り、街へと帰った。その日、街では宴が始まった。俺達はちょっとした英雄みたいな感じだった。料理人が捌き、真っ先に俺達に振る舞われた。オオトカゲよりもジュシーで匂いも凄い。脂も乗ってて最高に美味い!こいつはやって良かったぜ、この仕事をこなさなきゃ味わえなかった味だ。俺達はキングオオトカゲを肴に飲み明かした。

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