第二章 もっと遊んでくれよ

<1> スカッとするぜ

母ちゃんの抱っこも好きだけど

父ちゃんの抱っこはいろいろと面白いから好きだよ。

あぐらかいて俺を抱っこしてくれてさー……人間椅子状態? なんちゃってな!

うはは。




お? 目の前に掌(てのひら)を出してきた、何のつもりだ父ちゃん?

なんかひっぱたきたくてウズウズしてくるぜ。


…えい!

おい? ……俺がせっかく叩こうとしたのに何で急に引っ込めるんだよ?

あ、今度は反対の掌、出してきたな、


……えい!

おーい、だから急に引っ込めるなよ!

また? 今度はそっちか


……えい!

あのさ父ちゃん? 人をおちょくってるのかぁ? 叩かせろよ! 欲求不満になるじゃねーか!




「ほら、ママ見てみなよ。洋(ひろし)のヤツ、ポカンと口開けて俺を見上げてるよ」

「え? あらー、パパに遊んでもらってるのね、よかったわね洋、ふふふ」




そーじゃなくてー

俺は目の前に出された掌が気になるんだよーひっぱたきたいんだよー!




「あはは、どした洋? 俺の膝をバンバン叩いてるよ。すごい力でちゅねー痛いでちゅー」

「ふふふ、洋、そんなに叩くとパパ泣いちゃうわよー」




泣きたいのはこっちだぜ! あ、また出たな


……えい!

もう何なんだよ! 引っ込めるなって言ってるじゃねーか!

また今度はこっちか? くっそー


……えい! パシッ! お! やったぁ!

父ちゃんの掌を思いっきりひっぱたいてやった! ピシって決まって気持ちいいー! へへへ!




「あはは、洋、笑ってる!パパのオテテ痛い痛いでちゅよー」




え? そうか? そんな強く叩いたつもりはないんだけど

だってさー出してもすぐ引っ込めるんだもん、思わず力が入っちゃったんだよ

父ちゃんがいけないんだぜ……あ、また出たか


……えい!

だーかーらー逃げるなよ! 急に引っ込めるなよ! あ、出た!


……えい! パシッ! やりぃ!

スカッとするぜ! 決まったな。ひゃはは!




「また笑ってるよ、そんなに嬉しいのかな? パパのオテテ痛い痛い、洋すごいでちゅねー」




へへへ、俺はやる時はやるんだぜ、思い知ったか、うはははは。

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