第14話 リサイクルショップ【夢幻ショップ】

 リサイクルドリームショップは今日をもってリサイクルショップ【夢幻サイクルショップ】へと切り替わった。


 領主の館から内装を改造して、リサイクルドリームショップとなったが、今や地球の世界で言う所のデパートの姿へと切り替わり、それは中世の城そのものになっている。


 コレクションブックを開くと、ダブってる武器、防具、道具、アイテム、その他等などを自動で展示していく。


 フウとジェラルドはきょとんとしながらも、勝手に装備達が浮遊して展示されていく姿に口を大きく開けていた。


「ふぅ、値段はあらかじめ、品に張り付けてあるから、値引き交渉とかそう言ったのはフウとジェラルド将軍に頼みたい」


「分かったわよ」


「了解であります」


「俺は1週間永眠する事にするよ、夢の世界でリサイクル出来る物を買い取りしてくるからさ」


「いってらっしゃい」


「本当に永眠してはいけませんぞ」


 フウとジェラルド将軍の応援を胸に。


「あと、これ、残りの500億万Tのうちの100億万Tを渡して置くので、皆さんの給料にしてください」


「ちょ、物凄い額よ」


「ちゃんと皆さんで均等に分けてくださいね」


「は、はいいいいいい、均等所のレベルではないですぞ」


 フウとジェラルド将軍は腰を抜かしており。

 俺はそのまま、執務室で寝るのではなく、ちゃんと自室のふかふかのベッドで1週間の永眠についた。



====バイバイ世界====


 宇宙空間、虹色の光に包まれて、久しぶりに飛翔する。

 巨大なサメのゴンザメといつも通りに出くわす。

 

「これはこれはユウさんじゃないかー」


「ゴンザメ、次はどんな世界に連れて行ってくれるー」


「新しい世界には連れていっただろう、夢世界農地ZとVRMMO世界にさー」


「もっとだ。もっと教えてくれ」


「確か、ユウさんはー物を買い取りしたかったんだよね―現在の資金は?」


「400億万Tだ」


「確か、T金額は夢世界共通だから、夢の外の世界のコレクションブックからこちらに繋がるはず、だからーこっちでもT金額は使用出来るよー」


「いつも何かをしてあげて貰っていたから、お金で買い取るという習慣はなかった。助かったぞ、ゴンザメ」


 ゴンザメは嬉しそうに、俺を新しい夢世界へと導いてくれた。

 そこはバイバイ世界、通称売買世界とも言う。

 全ての存在が金で扱われる世界。


 俺はとんでもなく恐ろしい世界に降り立ったのだ。


 入口は巨大な門。

 門はあるが城壁の存在はない、あえていうなら透明な膜のバリアが張り巡らされている。

 その門には1人の老人が座っていた。


 俺は会釈しつつも、老人に挨拶した。


「通られるかい? この先は大変なことが起こるかもしれないぞ」


「俺を通してください」


「よろしい、その覚悟しかと受け取った」


 俺は通された。

 門を通ると、俺の名前が空中に浮かびあがり、そこには値段が書かれてあった。

 空間に立体の数字として表示される。


 100億万Tと書かれてある。

 これはいったいどういう事だろうか。


【売買世界ではバリアより中に入るとその者の値段が決められる。体に触れられて、金額を渡されると購入されるので気を付けろ】


「まじか……」


 そこに広がる景色、大勢の人々がお店を開いている。

 もちろんそこには買われてしまった人が奴隷の如く働いている。

 どうやら近くにダンジョンがあり、そこでモンスターを討伐して素材や宝を収集するようだ。

 看板に書かれてある。

 

 ダンジョンはランダムで形を変えるのと、1パーティーが扉を開いて入ると次の1パーティーが入ると別空間に移動させられるらしい。


 周りにいる全ての商人が敵だと認識した。

 体を触れられて100億万Tをきっと俺の懐に入れると、俺は購入されるのだろう。

 それからは奴隷生活。

 どうやって切り抜けるのかだが。


【100億万Tの10倍の1000億万T払う必要がある】


 なんとも恐ろしい、現状は100億万Tだから、それ以前にどうやって100億万Tという大金を懐に入れるのか。


【カード化されており、コンパクトです】


 なんか会話になってる気がするが、夢の声は独り言のように呟いている。


【売買世界ではどこでも露店を開く事を許可されている】


 空気を読めない夢の声が告げると。

 俺はとりあえず、コレクションブックから万能露店を取り出すと設置する事にした。


 そこには看板に何でも買取しますと表記した。


 しばらくすると、1人の少女がやってきた。

 くたびれたぼろぼろの布切れの様な衣服を着用しており。

 金色の髪の毛がくすんで汚れていた。

 彼女はこちらをじーっと見ていると、手元に色々な宝石を持っていた。

 

 空中に名前が浮かんでおり最高購入額100億万Tと表示されており、持ち主は【リークン】という男性らしい。


「あのおじちゃん、この宝石を買ってください」


 取り合えず、鑑定スキルを発動させる。

 その宝石が100万Tくらいしかしない事は分かっていたが。

 それでもまだコレクションブックには登録していない。

 高額で購入する価値はあるだろう。


「100億万Tで購入するよ」


「やったーおじちゃんありがとう」


 金髪の少女は俺に抱き着くと、きゃははうふふと笑い。


「ありがとねん」


 少し怖く呟いた。


 その時だった。


――あなたはリークンさんに購入されました。奴隷として働いてください、リークンさんの指令です。ダンジョンであなたの再購入金額の1000億万を稼いでください――


「は、はぁあああああああ」


 眼玉が飛び出さんほどだった。


 空中に浮かぶ文字を消そうとするが消せない。

 奴隷になったらこの売買世界から脱出できない。

 本当に永眠所ではない。


 恐らく何回もフウにビンタされても目覚めないパターンだろう。


「さっきのリークンはあの少女の、まさかあの時」


【どうやら気付いたようですね、持ち主の奴隷が触れていて、カードを入れられたようです。おめでとう奴隷になりました】


「そんな芸当も出来るのかあああああ」


 ポケットには100億万Tのカードが入っている。

 そのリークンとやらは姿を現さなない、というか奴隷の持ち主は遠距離から指令を出すようだ。


 この100億万を元手に1000億万Tを稼ぐ必要がある。そうしないとここから出る事は出来ない。


 その1000億万Tはリークンの財産となり、俺は0Tから出直すという形だろう。

 だがこちらには既に400億万Tが、いやさっき100億万T渡したから、300億万Tだ。

 100億万Tをリークンからカードとして受け取ったから、元手が300億万Tに+され400億万Tとなるわけだ。つまり600億万Tを稼ぐ必要があるわけだ。


 なんで買取しようとしてダンジョン出稼ぎにこなきゃいけないんだよと思いつつも。

 俺はダンジョンに向けて歩を進めた。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る