第10話 VRMMOて確かゲームだよね!
【剣と魔法のVRMMOゲーム遂に発売!】
という巨大な看板がこの世界の入り口に貼られていた。
見たところ巨大なドームが広がっており、虹色に輝く宇宙からふわりと降り立った俺は。
そのドームの手前の入り口に眼を止める訳だ。
1人の女性が右手と左手を礼儀正しく合わせて沈黙していた。
「あのーすみません」
一応ここは夢世界のはずで、俺が来た事のないタイプのようだ。
「はい、あ、ゲームプレイですか? この惑星はVRマシンしかなくて、他の惑星からやってきたプレイヤー達を歓迎しています」
「そのゲームって、地球であるような奴?」
「地球からの参加者もおります。はい、VRとは頭に機械を付けるのですが、ここでは全身に着けます。ゲームの世界にダイブするという事です」
「なるほどー参加費用は?」
「ありません、このゲームはベータ版であり、より多くの参加者が必用です。バグ報告等あれば報酬を期待してください」
「なるほど、じゃあ、参加するよ」
「ありがとうございます。VRマシーンがあなたの適正ジョブと適正ステータスなどを見極めていきます。では、122番のVRマシーンが開いております」
「ありがとねー」
俺は122番のVRマシーンに向かった。
大きな四角いベッドだった。
ゆっくりと中に入って、眼を瞑ると、甘い香りがしてきて、意識が飛んでいた。
目が覚めると、丸っこいゴーレムみたいな奴が説明してくる。
「あなたのレベルは1からです。一度ゲームから出るとレベルは1に戻ります。スキルや魔法を習得していたらそれはそのままです。武器や道具は現実から持ち込めないはずです。では素晴らしいゲームライフを」
丸っこいゴーレムが見えない所までくると、ぐふふと笑い声を上げる。
スキルは持ち込み可能というかそうだろうねきっと。
という事はスキルのコレクションブックを発動させ、そこから太陽の剣を取り出しても。
「持ち込み可能じゃん」
現在俺はチートと呼ばれる事をしている気がするが。
まぁ気にせず。
「レベル1でもこれだけのスキルとこれだけの武具とアイテムがあれば、さらにコレクションブックのコレクション率での肉体強化等についてはそのままのはず。ふ、ふふふ、これが強くてニューゲームという奴なのだな」
取り合えず、レベルを10にしたいので、スライムを見つけて片端から討伐する事に。
討伐しながらジョブを確認する。
「商人」と表示されており。
どうやら俺はゲームの世界でも商人となっている。
だがよーく見ると。
「商人魔王」と表示されており。
少しだけ青ざめる始末であった。
「よーしスライムを1000体倒して、レベル10になったぞ、というかどれだけまぞい設定なのよ」
他のプレイヤーは一切見つからない。
きっと高レベルで狩場が違うのだろう。
まず、俺がここに来たのは、最高な武具を手に入れる為だ。
バンデット山賊団団長に眼にもの見せる最高な武具を手に入れるのだから。
大きな街に入った。
現在俺の装備はレベル10の装備ではありません。
ほぼレベル9999の装備です。
右手に太陽の剣、左手に雷鳴の剣。
両籠手には手神の籠手。
両足には足神の靴。
鎧にはヴァイアーの鎧。
太陽の剣はいつもの武器で、雷鳴の剣は雷が迸る。
手神の籠手は手の先っぽが器用になり、剣術捌きが道化師のジャグリングみたくなる。
足神の靴はステップを刻むようにダンスしながら避ける事が出来る。
ヴァイアーの鎧は敵を倒すとその血を吸収してレベルの源とする。
見た目的に真っ赤に染まった鎧を身に着けているので。
ヴァンパイア族かと回りの人々は小さな声で噂していた。
「頼もう」
俺が入ったのは、戦士ギルドであった。
この世界には冒険者という概念はあるのだが、この町には冒険者ギルドが無かった。
戦士ギルドと盗賊ギルドと魔術師ギルドしかない。
街は結構な広さであり、大勢のプレイヤーとNPCが歩いていた。
この世界のNPCのクオリティーは物凄く高くて、どうやって作ったのか、きっと魔法の技術を用いたのかなーと思っていたら。
戦士ギルドのマスターがこちらを手招きしていた。
ふむ、と頷き。向かうと。
「君はレベル10だね」
どうやら戦士ギルドの長はNPCで俺の個人情報にアクセスしたようだ。
「君の強さなら最高な武器と防具を手に入れられるかもしれない」
「なんだって」
「そこでだ。巨人族の巣に行って、レベル3000の巨人を100体倒してきてくれんか」
「お前鬼だろ」
俺の当たり前の突っ込みに、戦士ギルドの長は? という顔でこちらを向いている。
「そこでだ。巨人族の巣に行って、レベル2500の巨人を200体倒してくれんか?」
「いや、てか、途中で数字が可笑しくって、あれ、盛ってる部分と抑えてた部分があったのね、てか戦士ギルドの長よ恥ずかしいからって盾で顔を隠さないでくれ、あなたの盛り方はほぼほぼ意味がない、ではチャレンジさせていただく」
「あいつ馬鹿だ。死ぬイベントに参加しやがった」
「いや、きっと素人だな」
「死ぬイベントに参加すると、大抵とんでもないイベントに巻き込まれるぞ」
「だが、あいつは自信満々に歩いている」
「失礼、巨人討伐に参加される方、こちらへ」
先程の戦士ギルドの長が大きな声で叫んでいる。
俺は長の元へと向かったのだが、誰一人いなかった。
いるとしたら1人だけ、それも女性だった。
背中に長大な弓矢を担いでおり。何か機械と複雑に絡み合っていた。
「では、ジョブ:商人魔王ユウとジョブ:機工弓使いテナ」
「ユウ殿はレベル10。テナ殿はレベル200でございます。この無謀なクエストに参加いただきありがとうございます。準備が整い次第、私の頭に触れてください、テレポートしますので」
「ちょっと、あんた、バカなの」
テナ氏がこちらの右手を引っ張る。
「いや馬鹿だけど」
「そうじゃなくて、レベル10で商人魔王なんていう意味不明なジョブでどうやって戦うの? なぜか装備が滅茶苦茶良いんだけどさ」
「気にするな強くてニューゲームをやっている」
「それって弱くてニューゲームの間違いじゃ?」
「違うぞ、俺の装備はレベル9999相当だ。正確にSランク以上の代物だ」
「嘘ね、全然オーラを感じないもの、私の眼はその物体に宿る力を見るのよ」
「そうか、それは残念だったな、俺は随時隠蔽を行っている」
「ははい?」
「隠蔽を解除してもいいが、そのまばゆいオーラに耐えられるか? ふ、耐えられないだろう」
「あんた相当なバカね」
テナ氏の装備はジーンズのようなズボンに動きやすそうにティーシャツ姿、その上をジャケットの様な物を羽織っている。
なぜか機械と融合している弓からは物凄い魔力を感じた。
「じゃあ、死にに行くとするか」
「まったく、レベル10でそれやるの馬鹿げてるから」
俺達は戦士ギルドの長の頭を触った。
体がピカリと輝いて。
どこか通った事のないトンネルをひたすら通らされているような感じになった。
気付くと、何もかもが巨大な場所に辿り着く。
どうやら地下世界のようで、光は白くぼんやりとしたものが天井に張り付いていた。
それは巨大な蜘蛛で、蜘蛛が灯の代わりになっていた。
生臭い臭いが当たりを支配し。
風が吹くと、暖かい臭いになた。
戦士ギルドの長はおらず。
俺とテナ氏だけになり。
「真っ直ぐに進むのです」
と頭に声が響いた。
それだけで言葉はなくなり。
空中に文字が浮かんだ。
【巨人討伐開始】
遥か先、地下世界の先から声が、化物の様な遠吠えが響いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます