第9話 老師!? 雑貨屋に転職なさったので?
「ろ、老師? 何事ですか?」
フウが大きな声で尋ねた。
老師はふむと頷いて。
「あれは数日前じゃった」
老師の昔話が始まろうとしていた。
====老師の昔話(数日前)====
老師は拳を鍛えていた。
岩を破壊し、山を破壊し、川を破壊し、苦情が来た。
「ちょっと、老師、やりすぎですよ」
そこは【ジブラルス王国】と呼ばれる所。
老師はジブラルス王国の近くに格闘修行場を設立している。
だが、最近隣の格闘修行場に門下生を奪われていた。
老師はむしゃくしゃして自分を見つめなおす為に、修行という修行をしていた。
なので岩を破壊し、山を破壊し、川を破壊し、城壁を破壊した。
最後は乗りと気分だった。
ジブラルス王国から追放命令を食らった彼は、食っていくのに、考えた。
その結果、雑貨屋を経営する事にした。
移動式の雑貨屋は雑貨を集めつつ、売りさばく事が出来た。
時には戦争のど真ん中で雑貨屋カンスイという名前で広めたりしたが、先にそれをやった馬鹿がいて悪目立ちしてしまった。
その先にやった馬鹿はどうやらフウの幼馴染で、かつてエンカウンター領地に出向いた時にいた生意気そうなガキだった事を思い出した。
かくして雑貨屋カンスイは旅先をエンカウンター領地へと決めて辿り着く。
====面接続き====
「それさー数日ってレベルの話じゃなくないですか?」
「年を取ると、日数が分からなくなるものでな」
「そうですか、老師大歓迎です。この世界の品の雑貨屋は貴重です。俺の雑貨は道具やアイテムですが、夢世界から得た物ばかりですから」
「なるほどのう、どうやら夢世界という異世界に夢を介して渡れるようじゃな」
「そうです」
「通りでわしより強い訳か、フウよこいつとなら良い子供が生まれるがふぉあぁあああ」
フウの熱血拳が老師の顔面を捉え、老師は強制的に窓から消えていった。
「老師が、子供って言おうとしてんだが、どういう意味だったのか気になるんだが」
「あはは、あれは子供が暴れるから気を付けろって意味よ」
「そうか、老師も大変だな」
俺はうむと頷きつつ。
残りの6名は簡単な農作業と、雑貨屋の手伝いや病院の手伝いが出来るとの事で、領民となった。
6名の領民達が一番まともだった気もしたが。
現在、事務室にはジェラルド将軍とフウと俺だけがいる。
俺は空中にワールドマップを展開させると。
いつもの如く、自分の惑星をタップし、拡大していく。
「ジェラルド将軍、兵舎はどこがいい」
「ええと城壁または城門の近くがいいかと、敵が攻めてきたときに臨機応変に戦えるからです」
「そうだな、等価交換を発動してと、兵舎は1000万Tだなここに設置と」
こうすれば、突然異空間から建物が出現するという仕組み。
「商店街も設置しておきたい、雑貨屋カンスイ老師の為にも、えーと宿屋の近くがいいだろうから、ここにしよ、1000万T消費と、次に病院だけど、リサイクルドリームショップの近くに設置で2000万Tもするのか」
「後は宿屋をもうさらに巨大化させよう、領民が11名になったから、宿屋も大きくする必要があるし、破壊勇者とか創生勇者とか老師とか魔王娘とかも増えたからな」
「現在家持ちはカフカ君だけですね」
ジェラルド将軍がそう呟く。
「だな、家は与えるつもりはないよ、自分達でちゃんと働いて、購入できるようになったら、カタログ機能を使うだけさ」
「時には厳しくですか?」
「そうだね、与えた所で、出ていく人は出ていく、自分の力で手に入れた財産ならそう簡単には出ていかないんじゃないかな?」
「なるほど、それは真理かもしれません」
「それでも出ていく人はいるけど、それは自分の責任という事でしょうね」
俺は冷たいのかもしれない。
それでも眠り続けてきた日々。
父親は領民に愛されていたはずなのに。
領民は簡単に父親を捨てた。
それでも父親は諦めなかった。
それだけでも十分すぎるではないか。
俺とフウは領地の中を散歩する事にした。
フウはとても眩しそうに太陽の光に眼を細めていた。
俺は最初に宿屋に辿り着いた。
宿屋の中ではほぼ経営はされていない。
というよりかは宿屋の主がいないのだ。
領民が代わる代わるに担当していたりしている。
「宿屋の主を探す必要がありそうだね」
「だねー」
部屋は30部屋くらいある。
とてつもなく広いから領民30人まで増えてもいけそうだ。
現在は11名とその他だが。
次に向かったのが畑地帯だった。
そこでは創生勇者バデットが雨を降らせたりしていた。
畑作業には自信があるらしい。
今はクワで耕す事はしない。俺が耕してしまったから、次の種植えの時にバデットにお願いしたい。
「やぁやぁ、あっという間に馬鈴薯が大きくなりはじめたよ、太陽の光は調節しないとねー、トマトは異常に大きいねーまるでスイカくらいの大きさになれるよきっと」
創生勇者バデットはひたすら雨降りの魔法を唱えていた。
途中で太陽の光を直射させる事を忘れないのはぬかりない。
次に病院に行くと。
魔王娘フーデリカがセクシーに椅子に座っていた。
「この領地はとても平和ね、怪我人も1人もいやしない」
「それが良い事だと思うけど」
「でも、ふわぁああ、うちはとても暇だよ」
フーデリカは大きな大きな欠伸を繰り返した。
俺とフウは病院を後にする。
病院の建物構造的には3階建てでありながら、入院施設があったりする。
しかし、フーデリカ1人で機能させていくのは難しいだろう。
次は兵舎に向かった。
そこでは先程まで事務室にいたジェラルド将軍が椅子に座って事務仕事をしていた。
ただ隣では破壊勇者クラウスがジェラルド将軍にうるさく話しかけている。
俺達は巻き込まれないようにひっそりといなくなった。
次に歩を進めた先は、カフカ少年の100万Tの家だった。
俺はカフカ少年の家に辿り着いた。
そこには破壊剣が置かれてあり、無敵の鎧も置かれてある。
何かが可笑しいと気づいた。
一枚の手紙が置かれてあり。
【カフカ少年を返して欲しくば、カイガンセン王国にあるロックガン山に参られよ、手土産に最高な武具を所望する。―バンデット山賊団団長―】
「これさーすげー面倒くさいなんだけどさー」
俺は頭をぽりぽりと掻きながら。
「最高な武具ってあるの?」
「いやーないけど、でも彼等にとっては最高なんだけど、商人としてのプライドが許さないから、夢世界からとってくるよ」
「は、はい?」
「だから、夢世界に行って、最高な武具って奴を取ってくる、ちょっと待っててくれ、3日くらいで戻ってくる」
「なんで、こんな山賊どもの話をまともに受ける訳?」
「それは商人だからさ、そして、もしもの時に最高な武具はあった方がいいいし、コレクションもしておきたい、まぁスキル【複製】でも使って増やすさ」
「あんたのスキルチートよね」
「わりーかよ、あ、もう時間ないから、ここで寝るわ、守護よろしくね」
「まったく、任せて頂戴」
ゆっくりと意識を眠る方角に向けていく。
まぁ最高な武具があれば、売り物にもなるだろうしな。
そんな事を考えながら、俺は夢世界の異世界に渡り始めた。
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